経団連夏季フォーラムでまとめた軽井沢宣言を岸田文雄首相(中央)に手交する十倉雅和・経団連会長(右)ら(19日、長野県軽井沢町)

経団連は19日、長野県軽井沢町での2日間にわたる夏季フォーラムを終えた。2040年を見据え、安価で安定した電力供給を確保するため、脱炭素電源である原子力の活用が必要だとの考えで一致した。高温ガス炉や核融合などの次世代革新炉を巡り、政府が開発・実装を着実に推進すべきだと強調した。

十倉雅和会長(住友化学会長)らから出席した岸田文雄首相に議論の結果を記した軽井沢宣言を手渡した。

宣言では原子力発電所の再稼働や新増設、リプレース(建て替え)の計画の具体化を促した。人工知能(AI)などの社会実装を進める必要性も提唱した。「イノベーション(技術革新)促進に向けた大胆かつ継続的な投資」の支援を要求した。

東原敏昭副会長(日立製作所会長)は「生成AIを使用するとデータセンターでエネルギーをものすごく使う。その状況で50年にはカーボンニュートラル(温暖化ガス排出量実質ゼロ)を実現しないといけない」と指摘した。経団連は25年1月にも策定する「フューチャー・デザイン2040」でデジタル化や脱炭素の最適解を示す。

会合では地方経済も議題になった。小路明善副会長(アサヒグループホールディングス会長)は市区町村の35%は人口減少下でも1人あたりの付加価値額が増えていると紹介した。「地域の魅力を明らかにすれば成長できる。そのノウハウの共有が重要だ」と話した。

グローバルリーダーの育成には産業界が海外留学の経験者や外国人留学生を積極的に採用すべきだと話し合った。採用スケジュールや評価報酬制度の見直しを提起した。

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