被爆体験者の救済をめぐり、被爆地域の拡大などに向けて長崎市が設けた研究会は、16日に厚生労働省に報告書を提出しました。

低線量被ばくの人体への影響について、会は厚労省に最新のデータの検討を求めています。

「長崎市原子爆弾放射線影響研究会」の朝長万左男 会長などは16日に厚労省を訪れ、報告書を手渡しました。

研究会は2013年に被爆地域の拡大などに向けて長崎市が設けました。

医学や物理学の専門家などが10年以上かけてまとめた報告書は、低線量被ばくが人体に与える影響について「確固たる知見は得られなかった」と結論付けています。

一方、人体への影響を示唆するような論文も出てきたことから、厚労省に「検討してほしい」と求めたということです。

朝長万左男 会長
「ヨーロッパ9カ国のCT検査を受けた子供達に出る白血病とガンのデータ」「厚労省の方で独自に新しいデータを研究、調査グループをつくって検討して結論を出していただきたいとお願いした」

報告書をめぐっては「国が定めた被爆地域の外にいた『被爆体験者』の救済を遠ざけるのでは」と懸念する声も上がっています。

朝長万左男 会長
「(被爆地域の拡大、是正に)つながることを希望するが、科学的なデータであるという判定をしかるべき研究者なりを動員して、厚労省が結論を出していただきたい」

報告書を受け取った厚労省は「被爆者の援護行政への思いは同じ。しっかり受け止めたい」として県と市と対話を続ける考えです。

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