防衛省は、自衛隊員による「特定秘密」の不適切な取り扱いや、潜水手当の不正受給などを受け、防衛事務次官や陸海空自衛隊の各トップを含むのべ220人、重複を除くと218人の処分を発表した。

処分対象となった事案は「特定秘密漏えい」「潜水手当不正受給」「不正喫食」「内局幹部によるパワハラ」の4事案と、これらに関する幹部の「指揮監督義務違反」。

特定秘密の漏えいに関しては、イージス艦を含む海上自衛隊の艦艇などで、安全保障に関わる特定秘密を取り扱う資格のない隊員に扱わせたり、知り得る状況下に置いたりしたとして113人が、停職や減給、戒告などの処分を受けた。

「潜水手当不正受給」に関しては、海上自衛隊で、実際に潜水していないにも関わらず不正に潜水手当を受給していたとして11人が免職となったほか、停職、減給、訓戒など計74人が処分を受けた。

1人あたりの不正受給額がもっとも多かったのは約200万円で、この隊員は1500時間を超える架空の時間を潜水していたことにして、手当を受け取っていた。

また、基地の食堂などで食事の無料支給の対象者ではないのに代金を支払わずに飲食したとして22人が降任、停職、戒告の処分となった。最も悪質なケースでは.4921食、約30万円相当を不正に無料飲食していたという。

背広組の内部部局のパワハラに関しては、部下に「役人としてのイロハができてない」「それでこのザマか」などのパワハラ発言を口頭やメールで行ったり、深夜や休日を含め必要を超えるやりとりを行うなどしていた50代の男性3人が停職や減給の懲戒処分を受けた。

さらに指揮監督義務違反として、陸・海・空の幕僚長や制服組トップの統合幕僚長、事務次官、情報本部長の6人が訓戒などの処分を受けた。

潜水手当不正受給が行われ処分人数が際立って多い海上自衛隊トップの酒井海上幕僚長は、減給処分を受けた上で交代し、事実上の更迭となった。

処分者の合計は218人にのぼり、野党は今後、国会で厳しく追及する構えだ。

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