札幌市内で記者会見し、次期衆院選に立候補しない意向を表明した自民党の堀井学衆院議員(右)=札幌市中央区で2024年6月25日午後5時39分、金将来撮影

 「政治家、一人の男、人間として、けじめをつけたかった」。25日に道庁で記者会見した自民党の堀井学衆院議員(比例北海道ブロック)は、安倍派の政治資金パーティー収入の還流を巡る政治資金収支報告書不記載に対する思いを説明した。一方、「任期と職責を全うするのが有権者との約束」と述べ、辞職を否定。問題発覚後の有権者の意識の変化をどう捉えるかに関しては「全てを調べることはできず何とも言いようがない」と答えた。

政治活動の継続に含み

 堀井氏は次期衆院選まで地元の北海道9区(胆振、日高地方)の支部長にとどまる見通しという。任期終了後の活動は未定としつつ、衆院選後に選挙への出馬を打診されれば検討する考えも示し、政治活動の継続に含みを持たせた。

 9区の党支部では、収支報告書不記載の発覚を契機に「堀井氏は地元回りをしない」という声が高まり、政治活動に対する不満が出ていた。堀井氏が大票田の苫小牧市などで事務所を閉鎖したため、自民関係者は次期衆院選に臨む態勢を懸念しており、堀井氏は事実上、不出馬に追い込まれた形だ。

後援会長困惑、地元秘書も知らされず

 一方、「不出馬の意向」の一報が伝わった24日夕、登別後援会の木村義恭会長は驚きの声を上げ、「悩んでいるとは聞いていたが」と困惑を隠さなかった。地元の秘書も知らされていなかったという。

 堀井氏は立候補見送りを決断した理由について、政治資金収支報告書不記載の問題やそれに伴う副内閣相辞任、さらに元秘書による横領事件を挙げ、「問題が相次いだため」と説明した。収支報告書不記載のみで不出馬を決めた「前例」ができれば、不記載があった他の自民党国会議員の今後の選挙で党公認に影響しかねず、配慮したとみられる。自民の道議の1人は「他の国会議員への影響を考えて、国会閉会後のタイミングで不出馬を表明したのではないか」と話した。

 堀井氏が不出馬を表明したことで、9区の党支部では新たな候補者選びが本格化する。公募を軸に選考が進められる見通しで、自民関係者からは「室蘭や苫小牧の大きな企業から納得を得られる人物がふさわしい」という声が出ている。【石川勝義、平山公崇、金将来】

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