静岡県知事に就任して初めての県議会に臨んでいる鈴木知事ですが、議会とどう向き合っていくのか注目されています。県議会6月定例会は19日に開会し、24日から始まった質問戦で鈴木知事は「静岡を更なる高みへ導いていく」と話しました。


県政ビジョンについて

自民改革会議・相坂摂治 代表:
初めに知事の政治姿勢のうち目指す県政ビジョンについて聞きます。
「オール静岡で幸福度日本一の静岡をつくる」を選挙戦、就任式、議会の所信表明でも示し、世界的な流れとなっている「ウェルビーイング指標」を作っていきたいと述べています。リーダーが15年ぶりに変わった節目に、新しい県政の実現が求められています。360万人の県民が幸福度を実感できる日本一の県を実現するため、知事はこれからの県政でどのような将来像を描き、その実現のために如何に県政運営に取り組むのか

静岡県・鈴木康友知事:
5つの経営方針を徹底し県政運営にあたる。
具体的には「経営感覚を持ち将来世代に責任を負う」「税金を無駄にしない」「前例踏襲や常識にとらわれず新しく挑戦する」「巧遅より拙速」「人を活かすこと」の5つ。
静岡県を更に一段の高みに導くため、決断と実行 リーダーシップを発揮し全身全霊を捧げ幸福度日本一の実現に向け邁進します


鈴木知事は県政運営を「企業の経営」ととらえ、県政ビジョンとして5つの経営方針を掲げています。

24日から始まった質問戦で最初に登壇したのは、自民党の県議による最大会派自民改革会議の相坂代表です。


5月の知事選では自民改革会議は元副知事の大村慎一氏を支援していました。

過半数を握る自民改革会議と鈴木知事がそれぞれがどのように向き合っていくのか、注目されていました。

そして24日は、選挙の争点にもなった「リニア新幹線問題」と「浜松の新野球場問題」についても論戦が交わされました。

リニア問題について

自民改革会議・相坂摂治 代表:
就任直後から知事は国交相やJR東海社長と面談しリニア期成同盟会に出席するなど、精力的にリニア問題に取り組む姿勢を見せています。リニア問題は高速移動交通網に大きな転換点をもたらすが、静岡県は沿線で唯一 停車駅がないために直接的な開通のメリットを感じにくい。静岡県にとってどんなメリットがあるのか、実現化するためにどう取り組みを進めるのか

鈴木康友 知事:
東海道新幹線沿線の活性化策として停車本数増加や静岡空港新駅設置をあげています。
停車本数については沿線市町の意見も聞き、地域特性やニーズを踏まえ具体的ダイヤなどJR東海と対話を進める

浜松新野球場建設について

自民改革会議・相坂摂治 代表:
遠州灘海浜公園の整備に関する知事の方針を聞きます。
遠州灘海浜公園の整備は知事選でも大きな争点の一つとして注目を集め、知事選が“地域戦”と言われた背景になっていました。今後はどのような手順とスケジュールで議論を進めていくのか

鈴木康友 知事:
野球場の規模・構造を3案記した基本計画を本議会で示します。議会に理解をもらえれば、用地の取得に向けて手続きを進めます。県と浜松市、民間で新たな協議会を設置し、全体的な利活用の構想を検討しながら野球場の規模・構造を絞り込んでいきたい


相坂代表の質問とそれに対する鈴木知事の回答についてです。

まずリニア開通による静岡県のメリットとしては新幹線停車本数の増加と空港新駅について引き続きJR東海と協議を続けていきたいとしています。また水問題や生態系などの問題がクリアされて一定の理解を得られたら政治的決断を下すとしています。

新野球場については基本計画を県議会に示し、それから県・浜松市・民間で協議会を設置し、利活用について検討しながら規模や構造を絞り込んでいきたいと答えていました。

財政改革について

そして24日は自民改革会議の他に第2会派の「ふじのくに県民クラブ」の田口会長も質問に立ちました。こちらの会派は知事選で鈴木知事を支援していた会派です。

選挙期間中に鈴木知事が浜松市長時代の実績として掲げていた行政改革について質問が出ました。

鈴木知事は「16年間で浜松市の借金を1315億円削減した」と主張していましたが、県政ではどう考えているのでしょうか。

ふじのくに県民クラブ・田口 章 会長:
わが会派はここ数年、事業の廃止・ 見直しを提案している。一度始めた事業はなかなか廃止や見直しできず、危機感を持っています。新たな視点で「選択と集中」を行い県事業の見直しをして欲しい。県財政の状況を踏まえ、どう財政健全化に取り組むのか


鈴木康友 知事:
歳出のスリム化は積極的に民間を活用し、新たな施策を展開するため「ビルド&スクラップ」で課題解決に直結する事業手法への転換や、事業の減量や効率化など見直しを進めていきます

このほか、次期総合計画策定、各首長と幅広い意見交換、医師確保、防災対策強化などの話がありましたが、論戦バトルというよりは、両会派とも鈴木知事がどんな考えを持っているのか、まずは様子見といった感じだった印象です。

そして、初の質問戦を終えた鈴木知事は「自然体で臨めた」「今後はしっかりと議会とコミュニケーションをとって良い関係を築いていきたい」と話していました。

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