熊本市の大西市長は市役所本庁舎と議会棟についてNTT桜町の敷地に移転し建て替える考えを正式に表明しました。また、大西市長は現在は本庁舎の中にある中央区役所については本庁舎とは別に建てる『分棟』とする方針を示し、現庁舎裏にある市駐車場の敷地、もしくは花畑町別館跡地とする案も明らかにしました。

熊本市がこれまでに示していた本庁舎の候補地は、中央区手取本町の現庁舎敷地、
城東エリア、NTT桜町、白川公園の4カ所。
(*本庁舎には議会棟も含む)

そして本庁舎と同一の建物とせず分棟とする場合の中央区役所の候補地として
花畑町別館跡地とみずほ銀行を挙げていました。

24日は市議会・庁舎整備に関する特別委員会に大西市長が出席し自ら考えを述べました。

【大西一史熊本市長】
「利便性が高く災害対応力にも優れた庁舎として整備を行うほか周辺エリア一帯の
まちづくりも実施したい。本庁舎・議会棟についてはNTT桜町敷地に建設し、中央区役所は市役所駐車場敷地、または花畑町別館跡地のいずれかに分棟する方針で検討を進めたい」

大西市長はNTT桜町の敷地を選んだ理由として「バスターミナルに近く交通の利便性が高い」、「現地建て替えなら完成までおよそ14年かかるのに対しおよそ4年で工期が短くなる」などを挙げました。

そして設計や現庁舎の解体費、建設費などを合わせた概算事業費は、中央区役所と合わせて建てるいわゆる『合築』の場合現地建て替えよりも16億円多いおよそ597億円。

ただ現庁舎跡地を売却すればおよそ133億円の収益が見込まれるなどとして、
合併推進債なども活用した場合の市負担額はおよそ243億円になると試算しています。


一方、大西市長は現在本庁舎内にある中央区役所について、NTT桜町の敷地に
合わせて建築する『合築』、それに『分棟』とする案を示し、分棟の際の建設地は
花畑町別館跡地か、新たに市駐車場の敷地とする案を明らかにしました。

そのうえで、市としては中央区役所は分棟の方針で進めたいと述べました。

分棟の場合の概算事業費はいずれも600億円を超え、市負担額はおよそ255億円から263億円としています。
(市駐車場敷地なら概算事業費約629億円・市負担約263億円、
花畑町別館跡地なら概算事業費約616億円・市負担約255億円)

市は、NTT桜町の敷地に合築となれば、負担額は最も少なくなるものの、その場合、建物の高さが海抜55メートルを超え景観を阻害する恐れがあること、そして分棟とした場合の方が来庁者が街なかを回遊するエリアが広がりにぎわいが向上するとしました。

【大石浩文委員】
「(NTT桜町)妥当との立場です。今回の選定に異論はない」
【高本一臣委員】
「NTT側とは売却の合意はできているのか?」
【村上英丈 総括審議員】
「NTT側からは売却の意向ありと聞いている」
【上野美恵子委員】
「市政史上始まって以来の大事業。将来ずっと借金を払っていかないといけない。
これ以上は出さないというくらいの覚悟を議会に示してこの事業を進めるとしていかないと将来の負担が増えていく」

委員からは「市民への丁寧な情報提供を求める」意見や「現庁舎の解体費用など
さらに精査が必要」といった声が上がりました。

【大西市長】
「(移転建て替えは)経済波及効果も含めて街のにぎわいにつながると思うし、
(今後)具体的にいろいろな選択肢を示せると思っている」

大西市長は、7月16日に開かれる次回の特別委員会で分棟とする中央区役所の
建設地について市の考えを示すとしました。

さらに市負担額を大きく削減できる合併推進債を活用するためには今年度中に実施設計に着手する必要があるとし、近く建設地を決定した上で9月議会に設計関連予算案を一括して提案する予定で、これが議決されれば庁舎の建て替えが正式に決定することになります。

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