栃木県栃木市

 栃木市職員のメンタルヘルス問題をただした同市の6月議会での内海成和議員(創志会)の発言を巡り、市執行部が「印象として(市民の)誤解を生みかねない」として議会に配慮を申し入れたことが市などへの取材で分かった。二元代表制で「発言自由の原則」の地方議会では異例で、申し入れを受けた正副議長が内海議員に善処を求めたという。市は「発言を阻害しようという意図はなく、内容に配慮を求めた」と説明しているが、内海議員は「議員の発言権への不当な介入」と指摘している。

 発言は、4日にあった内海議員の一般質問の最後の部分。メンタルヘルス不調による休職者が21年度25人、22年度30人、23年度26人で職場環境も一因とする市側答弁を引き取った内海議員が「前の鈴木(俊美)市政では不調をきたした休職者は一桁で推移してきた。大川(秀子)市政になって職員総数は減っているのに、休職者は二桁台と増えている」と指摘。そのうえで「大川市政の行政運営に何らかの問題があるんじゃないんですか。個人に問題を押し付けてもかぶせても、問題は改善しない」などと締めくくった。質問の制限時間が迫っていたこともあり、市側の答弁はなかった。

 市によると、市側が問題視したのは「大川市政の~問題がある」のくだり。同日の本会議終了後、金井武彦経営管理部長が議会事務局を訪ね、配慮を申し入れたという。

 金井部長は「メンタルヘルスによる公務員の休職者増は全国的な問題。発言は、あたかも大川市政に代わってメンタル不調の休職が急増したかのような印象を与え(市民の)大きな誤解を生む」と申し入れた理由を説明した。「発言そのものを阻害する意図はなく、内容について配慮してほしいという趣旨。判断は議会に任せた」と述べ、申し入れは議会自律権や議員発言権などに関わらないとの立場を示した。

 これに対し、内海議員は「休職者数が大川市政になって高止まりしている事実を指摘した。何らかの問題があるのではという問いかけであり、断言も断定もしていない」と話している。

 質問は動画投稿サイト「ユーチューブ」で閲覧できる。タイトルは「栃木市議会令和6年6月定例会一般質問1日目(6月4日)②針谷育・内海議員」。

【太田穣】

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。