風営法の一部改正案を提出する立憲民主党の国会議員ら=国会で2024年6月7日午前9時、春増翔太撮影

 女性客に支払い能力を超えた料金を請求し、売春や性風俗店で働くように導く悪質ホストクラブ問題に歯止めをかけようと、立憲民主党は7日、風営法の一部改正案を国会に提出した。ホストクラブへの支払いのために日本人女性が海外への「出稼ぎ売春」をあっせんされている実態も明らかになっており、議員立法で要因となっている高額債務の規制を目指す。

 悪質ホストクラブを巡っては、「売掛金」と呼ばれる借金を理由に売春を強いられた女性の増加をきっかけに2023年秋に社会問題化した。立憲は同11月にも対策法案を提出したが、自民党の理解が得られず、審議は見送られた。

 今回提出したのは新法ではなく風営法の一部改正案。ホストクラブに「客の支払い能力に対して不相当に高額な債務」を負わせることを禁じる内容だ。

 昨年冬から問題視されている出稼ぎ売春については、今年に入って米国やオーストラリアでの売春をあっせんしたとしてブローカーらが相次いで逮捕されている。党関係者は「日本人女性が海外に売られる、いわば『人身売買』につながっている。被害を広げないために対策が必要だ」と話している。

 立憲は被害に遭った女性客の家族へのヒアリングを行ってきた。

 関東地方の60代女性は22年2月、20歳だった大学生の娘に「金を貸してほしい」と泣きつかれ、ホストクラブに借金があることを知ったという。借金は1200万円。それまで関わることのなかった「夜の世界」に恐怖を感じ、娘に危害が及ぶことを恐れて支払った。店まで行き、娘を二度と店に誘わないよう約束させた。

 だが、その後もホストは娘に連絡して店に通わせた。娘は大学をやめて派遣型風俗店に勤め、避妊薬を常用するように。「ホストは医学生を名乗って娘に近づき、店に通わせるようにしました。正体を隠して借金を背負わせて……そんなの許されていいんでしょうか」。女性は訴えた。【春増翔太】

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