立憲民主党の吉田統彦(つねひこ)衆院議員(比例東海ブロック)が2020~22年、自らが代表を務める党支部に計5000万円を寄付し、所得税の一部を控除される税優遇を受けていたことが判明した。同様の税優遇は自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件で安倍派からキックバック(還流)を受けた議員や自民執行部で発覚していたが、野党第1党にも波及した。
愛知県選挙管理委員会が毎日新聞に開示した「寄付金(税額)控除のための書類」によると、吉田氏は20年に1500万円、21年に1800万円、22年に1700万円を自ら代表を務める「立憲民主党愛知県第1区総支部」に寄付し、控除対象として記載した。
吉田氏は取材に対し、控除を受けた事実を認め、寄付について「支部における職員給与など人件費などとして支出するために行った」と説明した。また、寄付の原資は国会議員の歳費(報酬)ではなく、吉田氏が眼科医や大学教員として働いて得た収入や不動産収入などの一部を充てたと主張。「身銭を切って寄付した資金であり、支部に対する寄付は何ら問題はないと考えており、寄付金控除についても同様だ」との認識を示した。
租税特別措置法では個人が政党などに寄付した場合、寄付額の約3割が税額控除されるか、課税対象の所得総額から差し引かれる。
税優遇を巡っては、自民の菅家一郎元副復興相が安倍派から還流された1289万円を原資に、自らが代表を務めていた党支部に寄付し、控除を受けていたことが判明。自民の稲田朋美幹事長代理、平井卓也広報本部長、福岡資麿(たかまろ)参院政策審議会長も党支部への寄付で控除を受けたことが明らかになっている。
寄付に伴う税控除制度は個人献金を促し、国民の政治参加を推し進める目的で導入された。政治家が自らの後援会に寄付した場合は寄付者に「特別の利益」が及ぶとして控除の対象外だが、政治家と事実上、一体となっている政党支部については明確な基準がなく「抜け道」と指摘されてきた。
自民が提出し、6日の衆院本会議で可決された政治資金規正法改正案では、自らが代表を務める政党支部への寄付を控除の対象外とする措置を「検討」するとの付則が盛り込まれた。立憲を含む野党側も同様の法改正を求めている。【田中裕之】
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