兵庫県知事がパワハラ疑惑などで告発された問題で、最大会派の自民党県議団が「百条委員会」の設置を提案する方針を固めました。

告発文には、「20メートル歩かされただけで怒鳴り散らした」とあり、関西テレビの取材に県職員など8人が「見たり聞いたり」したと答えました。

■知事告発文問題 自民党県議団が「百条委員会」設置提案の方針

51年ぶりに、兵庫県議会で、「百条委員会」が設置されるかもしれません。

【ある自民党の県議】「第三者委員会ではウソをつかれるかもしれない。百条委員会の方が拘束力がある。議員でも調べるべきや」

ことし3月、当時の西播磨県民局長(60)が、「斎藤元彦兵庫県知事の違法行為等について」という告発文を一部の報道機関などに配布。

【告発文より】「知事のパワハラは職員の限界を超えている」

県は内部調査の結果、告発文は“事実無根”だとして、職員を停職3カ月の懲戒処分としました。

この問題について、最大会派の自民党県議団が6月の議会で「百条委員会」の設置を提案する方針を固めました。百条委員会が設置されれば、議会に強い調査権が与えられ、関係者の出頭や証言を求めることができるようになります。

5月、斎藤知事は第三者委員会による再調査の実施を表明したばかりです。

自民党の一部からは「今月の提案は早すぎる」という声もあがりましたが、「県民の不信感は拭えない。ずるずる引き延ばさないほうがいい」などの理由から、4日、提案が決まったということです。

仮に、自民35人に加え、これまで設置を求めていたひょうご県民連合の9人と、共産の2人、そして無所属の5人が加われば、賛成が過半数となり、可決される公算が大きくなります。

議会の百条委員会の提案について、知事は…
【兵庫県 斎藤元彦知事】「これは議会が判断することなので、私からコメントする立場にないというのが、いまの受け止めです」

■告発文には「20メートル歩かされ怒鳴り散らした」という内容も

告発文の中には、こんな内容も…
【告発文より】「出張先の施設のエントランスが自動車進入禁止のため、20メートルほど手前で公用車を降りて歩かされただけで、出迎えた職員・関係者を怒鳴り散らした」

関西テレビが現役職員やOBなどを取材したところ、告発文に「事実がある」と話す関係者も…
【県の関係者】「内容的には本当のことが書かれているのかなという印象です。(Qどのあたりが本当?)『車から降りて20メートル歩かされた』という部分に関しては私も聞いたことがありますし、けっこうたくさんの職員がそれを知っているのではないかと思います」

関係者によると、去年11月、播磨町の兵庫県立考古博物館で行われた地域の市長たちとの意見交換の場に向かう際…

【記者リポート】「関係者は、斎藤知事がこのあたりから入り口まで約20メートル歩かされたことで、職員らを叱責したと話しています」

【県の関係者】「(斎藤知事が)『なんでこんなとこに車止めが必要なんや。こんなに歩かせるなんてなにをやっとるんや』と怒鳴った」と聞いた

関西テレビの取材に対し、8人の関係者がこの叱責について見たり、聞いたりしたと答えました。

また、この事案は総務部内の部長・課長級が集まる会議で共有されたといいます。

【県の関係者】「会議の場で、誰かがそれを紹介したということも私は聞きました。(Q知事に言われたので気を付けるという注意喚起みたいな?)それはあるんでしょうね」

■告発文の「叱責」について「注意させていただいたことはある」と知事

この告発文の内容について5日、知事に質問すると…

【兵庫県 斎藤知事】「時間が限られてる中で、移動する中で、私からすると適切ではない段取りがあったので注意をさせていただいたということはあります」

(Q注意したのか、叱責したのか)「注意をさせていただいたというか、それなりに厳しい口調で注意をさせていただいたということはあります」

(Q知事としてはパワハラには該当しないと)「そこのコメントは私が判断することではないので差し控えたいが、注意をしたことはあります。ただそれは業務の範囲内で、必要な範囲内でやらせていただいた」

斎藤知事は、「核心的な部分において全てが事実無根」としていた調査結果について、叱責していたことを認める形になりました。

そして、「第三者委員会が設置されればそこで評価されると思う」とコメントしました。

■「設置するならば建設的な百条委員会に」と鈴木哲夫さん

兵庫県の斎藤知事の疑惑について、百条委員会が設置される可能性が出てきました。

【ジャーナリスト 鈴木哲夫さん】「最初にうちわの調査じゃなく、第三者で調査していればこんなにもめなかったと僕は思います。百条委員会というのは、僕はいろんな自治体で取材しています。最近だと東京の築地市場の移転問題で、当時の石原慎太郎元知事を百条委員会に呼ぶということがありました。百条委員会で気を付けないといけないのが、政争の道具に使われる時もあるんです。一方で、築地の問題のときもあんまり結論が出なかったのですけれど、それをやったことによって当時の事実関係がもう一回あぶりだされて、対応にプラスになったということがあります。今回も百条委員会を設置するならば、次につながる、つまりパワハラのない役所を作るためにどうすればいいかということにつながる建設的な百条委員会にしてほしいと思います」

斎藤知事は「叱責した」ことを認めました。

【関西テレビ 加藤報道デスク】「会見の場で認めたわけですけれども、告発文にあった内容について、報道を受ける形で追認している。ただ当初、3月に出回った告発部は“事実無根”だということで、告発文を出した男性職員は停職3カ月の懲戒処分になっていますが、そういったところが今後揺らいでくる可能性もあります。
 あと兵庫県の関係者が、今度の第三者委員会自体について、調査する人が知事部局から出向するので、どれだけ客観性を確保できるのか不明だという声が上がってのも事実です」

さまざまな手法で実態解明を進めてほしいと思います 。

(関西テレビ「newsランナー」 2024年6月5日放送)

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