乳幼児に肺炎を引き起こすRSウイルスのワクチンが31日、発売された。妊婦に接種し、生まれてくる赤ちゃんへの発症や重症化を防ぐ。接種が広がれば、国内で年間数万人と推計される、入院する子どもが減ると期待される。

 ワクチンは米ファイザー社製で、妊娠24~36週の妊婦に1回接種する。接種後にできた抗体が母体から胎児に移行することで、生まれてきた子どもの発症や重症化を防ぐ。

 日本や米国など18カ国の妊婦7千人超を対象に実施された治験の結果では、発症を予防する効果は生後3カ月以内で57・1%(重症を予防する効果は81・8%)、半年以内で51・3%(同69・4%)だった。

 RSウイルスはありふれたかぜのウイルスで、せきやくしゃみのしぶきを通して感染する。2歳までにほぼすべての子どもが感染。最初に感染したときに重症化しやすく、乳幼児は気管支炎や肺炎になりやすい。2回目以降は軽くなり、大人は鼻かぜですむことが多い。

 国内では、2歳未満の子どものうち、年間約12万~14万人が診断され、その4分の1ほどが入院すると推定されている。治療薬はなく、酸素や輸液の投与といった対症療法しかない。(土肥修一)

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