東京都内で近年、相次いでいる熱中症死亡者をなくそうと、都は今年、日本気象協会と連携して対策を強める。協会の気象予報士を区市町村のイベントに派遣し、SNSなどでの情報発信にも取り組む。

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 連携協定の締結式が15日、都庁であった。協会の渡辺一洋理事長は「熱中症は気象災害の一つ。対策は一刻の猶予もない」と訴えた。小池百合子知事は「熱中症ゼロを目指して、一緒に対策に取り組む」と話した。

 都内では過去5年、夏の間、平均160人超が熱中症で命を落としている。特に昨年は気象庁が統計を始めた1898年以降で「最も暑い夏」となり、熱中症による救急搬送が急増。東京消防庁管内では6~9月、過去5年間で最も多い7079人が熱中症で搬送された。

 搬送者は年代別で80歳代(1549人)が最も多く、次いで70歳代(1314人)、20代(693人)など。発生場所は住宅などの「居住場所」が全体の4割を占めた。都監察医務院によると、2018~22年の夏に屋内で亡くなった人の大半が、設備がない場合なども含めてエアコンを使っていなかったという。

 協会の気象予報士の久保智子さんによると、今年は6月上旬にかけて平年よりかなり気温が高くなると予想されている。久保さんは「体が暑さに慣れていない。急な暑さに注意が必要」と話す。都や協会は、エアコンの使用▽こまめな水分・塩分の補給▽暑さ指数の確認などの対策を呼びかけている。(太田原奈都乃)

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