岡山県吉備中央町の円城浄水場の水から有害性が指摘される有機フッ素化合物(総称PFAS)が検出された問題で、町は25日、給水を受けた円城地区の住民を対象にした血中濃度検査を始めた。町によると、公費による血液検査は全国初。希望者らは約800人の見通し。年明けにも結果がわかるという。

 初日の会場となったのは、浄水場から西に約2.5キロにある農林業体験宿泊施設。開始予定の午前9時前から希望者が少しずつ集まり、県健康づくり財団の看護師が採血を進めた。

 円城地区で生まれ育ったという沼本三記さん(47)は家族4人で受けた。「(問題発覚以降)自分と家族の健康状態が知りたくて血液検査を希望していた。もし問題がある結果が出たら、町には早く対応してもらいたい」と話した。

 町は8~9月、浄水場の給水区域の住民や勤務経験がある人など約2400人に意向を確認。11月25日現在では18歳以上710人、2~17歳80人が血中濃度検査を受ける予定という。13歳以上は25日のほか27日~12月1日に町総合福祉センターなどで実施。2~12歳は12月1、8日に岡山市内の医療機関で実施する。採取した血液は岡山大が分析。結果は1月に郵送で本人に知らせる。

 公費による血液検査は早くから一部住民が希望していた。昨年末、自主的に検査を受けた27人全員からPFASが検出された。1ミリリットル当たり31.7~372.4ナノグラムの濃度で、結果を公表した住民有志の団体は、米国では要注意とされる20ナノグラムを大きく超えていると指摘した。町は対応を留保していたが、今年3月、希望者全員に検査することを決めた。

 この問題は昨年10月に発覚。円城浄水場の水から2020~22年度、国の暫定目標値(1リットル当たり50ナノグラム)の最大28倍のPFASが検出されたと町が発表して明らかになった。

 町の有識者委員会は今年9月、取水源の上流に置かれていた使用済み活性炭が「発生源と考えるのが妥当」との結論を公表。活性炭は撤去されているが、県の継続モニタリングでは、取水源の沢やダムからは今年10月時点でも目標値を大幅に超える濃度のPFASが確認されている。

 町は活性炭の保管企業に1億円超の損害賠償を請求している。(小沢邦男)

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