神戸徳洲会病院(神戸市垂水区)で患者の死亡が相次いだ問題を受け、病院の改善状況について専門家の意見を聞く有識者会議が6日夜、神戸市中央区で開かれた。同病院の幹部らが出席し、「患者や地域のみなさまにご迷惑をおかけしたことを心からおわび申しあげる」と謝罪した。病院側は一連の問題で、少なくとも2件の医療過誤があったことも認めた。

 同病院では昨年、カテーテル治療を受けた複数の患者が死亡するなどしていたことが判明。このうち糖尿病の既往歴の見落としで必要な治療を受けられずに亡くなった70代男性と、カテーテル治療を受けた後に死亡した90代女性について、医療過誤があったと病院側が初めて認めた。

 市は今年2月、医療法に基づき、病院を運営する医療法人徳洲会に改善措置命令を出した。これを受けて病院側は改善計画書を提出し、4月に受理された。

 計画書などでは、院内での医療安全調査委員会の対象となる事例や、医療事故の疑いが起きた時の対応を明確化するとした。院内での全死亡例のリスト化、カテーテル治療は2人以上の循環器内科医で対応するなどの改善策も盛り込まれている。

 有識者会議には神戸市医師会長や患者安全専門の大学教授らが参加した。同会議のメンバーから、「一連の問題は循環器内科の問題なのか、病院上層部の問題なのか、広く病院の安全文化の問題なのか」と問われると、徳洲会の福田貢副理事長は「すべてだと思う。管理者の医療安全に対する理解が不足していた」と答えた。

 同病院が計画書の中で「院長が患者を断らずに受け入れる意識が強かった」と問題点を指摘したことについて、メンバーからは「地域住民に安全と安心をもたらすという観点が欠落していた」、「インフォームド・コンセント(十分な説明と同意)の対策レベルがあまりに低すぎないか」などの厳しい意見も出た。

 同病院の改善期限は8月末。その後1年間は保健所が立ち入り検査などをして、改善状況を確認するという。

 有識者会議の終了後、福田副理事長は取材に対し、「(患者が亡くなるなどした)事例ごとの検証報告書をまとめている。患者家族への説明後に公表したい」とした。(杉山あかり)

神戸徳洲会病院の医療安全管理体制の問題点と対策

・医療事故の疑いがある死亡事例の検証が不十分

 →全死亡例をリスト化し、毎週確認する

・医師不足で役職の兼任が多く、医療安全への意識が低下

 →医師を増員する。カテーテル治療は循環器内科医2人以上で対応する

・インフォームド・コンセント(十分な説明と同意)の不足、カルテの未記載

 →患者や家族への説明には、医師ら複数人が立ち会う。カルテの監査を実施

※神戸市作成の資料に基づく

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