国立循環器病研究センター(大阪府吹田市)は7日、遺体を取り違えて病理解剖をしたと発表した。

 国循によると、5月下旬、入院中に死亡し遺族が同意していた患者の病理解剖をする予定だったが、遺体の引き取りまで一時保管されていた別の患者の遺体を誤って解剖した。解剖開始後に手術痕が異なることに気づき、発覚した。

 通常は解剖用に使う遺体安置庫に、解剖予定でない患者の遺体があったため、解剖予定だと思い込んでしまい、患者確認をしていなかった。遺体安置庫は二つしかなく、複数の遺体があるときは、病理解剖向けの安置庫に、解剖を予定していない遺体に使うことがあることについて、周知が不十分だった。

 解剖予定でなかった遺体の遺族に対して謝罪した後に、解剖の承諾をしてもらったという。

 国循は、病理解剖で患者確認を徹底するよう医療安全管理マニュアルを改定した。

 また国循は7日、医師主導治験の対象の患者5人に対し、有効期限の切れた抗凝固薬を渡していたと発表した。5人に対し謝罪した。期限切れの薬による健康被害などは今のところないという。国循によると、今年2月末が有効期限だった抗凝固薬を誤って3月まで渡し、患者は最長で4月上旬まで服用した。治験の外部モニタリング担当者の指摘で発覚した。

 国循はいずれについても「再発防止を努め、患者様と国民の皆様の信頼回復に向けて全力で取り組む」としている。(桜井林太郎)

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