2024年7月に中国で開かれる世界最高峰と言われている学生ロボットの競技大会『ロボマスター』に、新潟県長岡市の学生チームが2年連続で出場します。
学生たちは資金難という課題を抱えつつも、強敵の地元中国勢に挑むべく、新たなロボット開発に奔走しています。

各チームが独自に開発したロボット最大9台を操作し、プラスチック製の球を撃ち合う『ロボマスター(RoboMaster)』は、制限時間内に相手の基地に多くのダメージを与えた方が勝ちとなるという、いわばロボット版の“サバイバルゲーム”です。

世界各国から毎年200以上の学生チームがエントリーしていますが、中でも中国のチームが圧倒的に強く、2023年の大会ではトップ10を全て中国チームが独占したそうです。

実はこの大会に新潟県長岡市の学生チーム『Phoenix Robots』も参加しています。
長岡技術科学大学や長岡高専の学生らおよそ50人で活動している『Phoenix Robots』は、ロボマスター出場と技術者としての能力向上を目指し、2020年に設立されました。
初出場となった2023年には、開催国・中国本土のチームを除いた「海外チーム枠」の4チーム中で2位でしたが、その後に勝ち進むことができず、中国本土のチームと戦う本選には進めませんでした。

2024年の『ロボマスター(RoboMaster)』は7月末に開催される予定です。
新潟県長岡市の学生チーム『Phoenix Robots』は現在、大会に向けた新たなロボット作りに力を注いでいます。

しかし「新たなロボット」といっても、そう簡単につくれるわけではありません。
複雑な部品の製作には3Dプリンターを使うこともあるそうですが…
「最後の最後で失敗して、またイチからみたいなこともあります」
「自分たちの思い描く最強のロボットを作りたいとの思いから、別に何時間でも作業できます」

何度も何度も失敗を繰り返し、改良を重ねて完成させた新作ロボットは、去年のロボットよりも部品を減らしつつ、強度を上げました。

「中国のチームは設計思想が全然違った。前のようにフレームを組んで作っていたのでは負ける機体になる。軽さや強さを意識して変えています」

2023年の大会では、ロボットの機体強度などで上回る香港の大学に連敗。
新作のロボットでは、ライバルのロボットを研究し、その強みを取り入れました。

強度を上げることにより、対戦中の機械トラブル発生も抑えることができます。
また、相手の球をかわす際にはベース部分をすばやく回転させて被弾率を下げるとともに、射撃の威力も増すなど、次の大会に向けた“新型ロボット”の準備は着実に進んでいます。

しかし、チームには別の大きな課題がありました。
大会支出予算の、512万円です。

中国で開かれるロボマスターに出場するにあたっては、ロボットの開発費以外にもメンバーの渡航費や滞在費などがかかるのですが、独立した学生団体である『Phoenix Robots』には、大学などからの資金援助がありません。

【Phoenix Robots 高橋我公代表】
「大学からの支援は、基本的に1円もない状態でやっています。その代わり地元企業からのスポンサー料や大会前に頂く一般の方からの寄付ですとか…」

メンバーはこれまでにも企業などを回って活動をPRし、支援を得てきました。
2023年の大会には、これまでの蓄えと企業から集めたおよそ200万円を合わせた総額450万円で何とか出場を叶えたのですが、2024年の大会出場に関しては、渡航費用のおよそ500万円は捻出できたとしても、ロボット開発費などでまだ300万円ほど必要になるそうです。

【Phoenix Robots 高橋我公代表】
「大会費用だけで言うと、もう少しで集まるか集まらないかくらいの瀬戸際くらいにいます。ロボットの開発費というところまで考えるとまだ全然足りない」

新潟県内外に50社ほどあるスポンサー企業に支援の増額を依頼することなどを考えてはいますが、これほどの資金を確保できるかどうかは見通せない状況です。

「予算は正直なところ厳しいです。草の根的に会社に連絡をして、広くいろんな方に活動していただくことでお金を集めていることが現状です」

次の大会までおよそ2か月半となった2024年5月。
長岡市内にあるフィールドで行う東京と名古屋のチームとの練習試合に、Phoenix Robotsは“新型ロボット”を試すことにしました。

操縦者は、ロボットに付いたカメラの映像のみでロボットを操ります。

ゲーム開始とともに、互いに相手の基地めがけて攻め込み、お互いに相手の基地を攻め落とそうとしますが、長岡チームのロボットに動作不良が起き、この試合には惜しくも負けてしまいました。

応急処置を施して何度も練習試合を重ね、試合後も機械やプログラムの改善点などを話し合いました。

「本当にプラスになりますね。他のチームのロボットは形も全く異なりますし、新しい刺激にもなって、チームのモチベーションにもつながります」

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