9月、高知工科大学の学生たちが自分たちが作ったロケットエンジンの燃焼実験に挑みました。何度失敗しても諦めない学生たちの試行錯誤を追いました。

9月、高知工科大学のグラウンドで学生団体RaSK(ラスク)が自作ロケットエンジンの燃焼実験を行いました。

RaSK(ラスク)は2016年に結成された学生団体で、高知工科大学の学生およそ30人が所属し、モデルロケットや小型の人工衛星などの製作を行っています。

もともとは既製品のエンジンを自分たちで作ったロケットに搭載して打ち上げていましたが、近年エンジンの流通量が減少していることなどから、6年前から自作ロケットエンジンの製作に取り組み始めました。

この日は先輩から受け継ぎながら6年かけて製作したエンジンの初めての燃焼実験です。無事、点火すれば排気ジェットの速度がマッハ2に達する予定の自作エンジン。メンバーや関係者らが見守る中、いよいよ燃焼実験が始まります。

一回目の結果は失敗。エンジンと燃料ホースをつなぐ部品に不備があったことから、液体酸化剤が漏れてしまいました。

部品のねじを締め直し、挑んだ二回目。結果は・・・。

液体酸化剤の漏れは解消されましたが、今回もうまく点火しません。

(RaSK 川上奎心さん)
「基盤の部分がちょっと悪くなっているのと、コイルを使っている部分がダメになっているかもというのと、イグナイター(点火するための部品)のワイヤーがちょっと長すぎるんじゃないか。この3つのどれかなので、基盤は多分どうしようもないと思うので、一回コイルを変えるのと、イグナイターワイヤーを付け替えて、再トライしてみる」

失敗の原因を燃料に点火させるための部品だと推定。はんだづけなどを行って部品を新しいものに交換し、仲間たちが待つグラウンドへ届けます。

今回は実験前に交換した部品が発火するか念入りにテスト。時刻は午後5時を回り、次が、この日最後の点火実験です。

残念ながらロケットの神様は微笑みませんでした。結局点火しなかった原因ははっきりとわかりませんでしたが、学生たちはすでに気持ちを次に向けていました。

(RaSK 安田裕貴さん)
「最後までいろいろトラブルがあったんですけど、最後は火花を散らす装置が壊れてしまって不点火という結果になってしまいました。この結果からいろいろ改善点は見つかっていますので、確実に火を灯せるように改善をしていこうと思っています」

一夜明け、部品を交換し試行錯誤を繰り返した学生たちに待望の瞬間が訪れます。

(RaSK 安田裕貴さん)
「(部品の)組み合わせをいろいろ試してみて点火に至った。燃焼が終わった後も安全確保ができるまで気が抜けないというのもあって『やったー!』という感情を表すわけにはいかなかったんですけど、観衆の方たちから拍手とか『よかったね』という声をいただいてとてもうれしかったです」

(RaSK 安田裕貴さん)
「魅力はエンジンのダイナミックさというか点火した時の音とか、パワーを感じるところがすごく魅力です。将来は航空系に携わるエンジニアになりたいと考えています」

RaSKは今後エンジンの軽量化などを行って、ロケットに実際に搭載することを目指しています。

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