実りの秋。本島北部・本部町で旬を迎えた果物。それは…「運動会みかん」です。
ー運動会といえば?本部町で聞くと…
▽本部町民
「ミカン。おやつで持っていってます」
「(本部町では)“運動会みかん”って言います」
運動会に欠かせないという本部町特産のミカン。いったいどんなものなのでしょうか?
本部町伊豆味。町内の特産品などを販売する「みかんの里」を訪ねました。
出迎えてくれたのは伊豆味区の嵩原安彦区長。「運動会みかん」はちょうど店頭に並んでいました。
▽本部町伊豆味区 嵩原区長
「運動会というのは、昔は9月下旬か10月にやっていたんですよ。ちょうどそのときとれるミカンがこの『カーブチー』で、そして父兄が運動場の周囲に応援、集まりますね、カーブチーを食べながら応援したもんです」
運動会の昼食時間に家族で食べた旬の味。「運動会みかん」と呼ばれたのは、沖縄在来のミカン、カーブチーでした。
最大の産地・伊豆味では、1973年にミカン狩りを沖縄で初めて実施。2000年代のはじめには、70戸あまりの農家が行楽客を受け入れていました。かつての盛況ぶりがうかがえる、案内板もありました。
ミカン狩りに来たお客さんがボタンを押すと、畑の位置が点灯。地図にない農道にも対応しています。
収穫直前の畑を訪ねました。伊豆味で最高齢のカーブチー農家、伊佐常信さん。この道50年になります。
ー出来はいかがですか?
▽ミカン農家 伊佐常信さん 「出来は上等!」
「カーブチーは伊豆味独特のもので、非常に香りもあって爽やか。昔からカーブチーの香りは良いと言ってね」
もぎたての香りは、鮮烈です。
▽比嘉チハルリポーター 「皮からもう、すごいフレッシュな、爽やかな。皮がけっこう分厚いですね」
▽ミカン農家 伊佐常信さん 「皮が厚いからカーブチーと言うんですよ」
厚い皮に包まれた果実のお味は…
▽比嘉チハルリポーター 「んー!!あまーい。爽やかな甘み」
▽ミカン農家 伊佐常信さん 「独特な味でしょ。(緑色の)皮を見たら酸っぱそうですが、中身は大丈夫です」
すっきりとした甘みと香りが魅力のカーブチー。琉球国王への献上品にも指定されていたといいます。
寒暖差の大きい伊豆味の気候風土にあった名産ですが、農家の高齢化や別の作物への転換などで、生産量は大幅に減少。
それでもカーブチーを守り続ける伊佐さんには、心の支えとなっているものがありました。子どもたちからのお礼の手紙です。
▽ミカン農家 伊佐常信さん
「ミカン狩りしてね、子どもたちがありがとう、と。宝物です。働きがいがありますよ」「これを見てね、一生懸命作って、子どもたちを喜ばそうと。子どもたちが大きくなって、ミカン狩りに来る連中もいるんですよ」
「カーブチーは先輩が作ったミカンだからね、絶やしてはいけないし、伊豆味独特のもの。他にはあまりないからね」
秋の本部町で、運動会みかんの産地を訪ねると、豊かな土壌に育まれた名産品と、故郷への誇りにあふれた素敵な笑顔に出会いました。
<取材MEMO>
カーブチーは、その爽やかな香りをいかして、香水も作られています。実は100%果汁のジュースに、皮は油分を抽出して香水などの原料に活用します。
12日(土)午後2時からは、本部町伊豆味のみかんの里で「カーブチーまつり」が開催されます。普段の半額でカーブチーが購入できますので、週末のお出かけにオススメです!
(取材 比嘉チハル「RBC NEWS Link わがまちLink41」2024年10月9日放送回)
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