宮崎県日南市飫肥に伝わる伝統の「泰平踊」が、高齢化による担い手不足で、存続の危機にあります。
こうした中、保存会では、新メンバーを中心に伝統を次の世代に伝える取り組みが行われています。

平和な時代が続いて、安定した時代が続いた象徴

優雅さの中にも気迫を感じる郷土舞踊、日南市飫肥に江戸時代から伝わる「泰平踊(たいへいおどり)」です。

始まりは、町人による盆踊りでしたが、1707年、当時の飫肥藩より武家にも踊ることが許され、侍と町人が一緒に踊るという、ほかの藩ではみられない珍しい郷土舞踊が生まれました。

(日南市生涯学習課 長友さん)
「庶民を含め武士階級を含め、同じところで踊りを踊ることで、交流の場として盛んに踊られていた。平和な時代が続いて、安定した時代が続いた象徴みたいな踊り」

焦っているんですよ。若手が入ってこない

1962年には県の無形民族文化財にも指定された「太平踊」は、現在、2つの保存会によって受け継がれています。

このうち、およそ30人のメンバーが活動する日南市今町泰平踊保存会。
音楽を奏でる囃子方のほか、武士姿と従者姿の踊り手で構成されていて、月2回、、練習が行われています。

そんな保存会が今、抱えている問題が高齢化による担い手不足です。

現在、メンバーの平均年齢は60歳を超えていて、「泰平踊」は存続の危機に直面しています。

(日南市泰平踊今町保存会 土屋絋志会長)
「もう焦っているんですよ。若手が入ってこない。どんどん会員が少なくなる。将来、どうするのかと…」

地域住民のみで継承⇨存続へ他の地域にも門戸を開く

こうした中、保存会を盛り上げているのが女性メンバー2人。齋藤美佳さんと松田莉奈さんです。

これまで、今町保存会では地域住民のみで継承するという決まりがありましたが、存続のため、他の地域にも門戸を開くことになり、飫肥出身ではない2人が加入しました。

(保存会に加入した 齋藤美佳さん)
「存続の危機だと聞いて、私に何かできることがあればお手伝いしたいと思って…」

(保存会に加入した 松田莉奈さん)
「伝統文化を自分でできるというのが感じられる」

新メンバーに刺激を受けて、先輩たちも練習に熱が入るようで…

(保存会の会員)
「若い人が入ってきたから楽しみ」
「ダラっと踊れなくなりますね(笑)(Q.気が抜けない?)もう、いいところ見せないといけないから(笑)」

「絶対、葬式のときに流してくり~」SNSを活用した泰平踊のPR

普段、着物で飫肥を活性化する活動を行っている齋藤さん。
今回、新たに提案したことがありました。「SNS」を活用した泰平踊のPRです。

この日は、YouTubeとTikTok向けのPR動画の撮影に、ベテランメンバーも参加しました。

齋藤さんや松田さんたちと一緒にコミカルにかわいらしいポーズを決めるベテランメンバー。

(ベテランメンバー)「絶対、葬式のときにながしてくり~!(笑)」

撮った映像をみんなで確認すると・・・

(ベテランメンバー)「孫には見せられん!(笑)」

(保存会の会員)
「なんか若い子って短い(動画)のが好きみたいだね。長い(動画)のは見ないと…だから、ちょうどいいんじゃないですか?」

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