2024年度で休校となる高知県土佐清水市の小学校の児童たちが先日、プロダンサーたちと地元のホールでダンス公演を成功させました。本人たちはもちろん、関係者にも、観客にも消えない記憶となって心に刻まれました。

土佐清水市の西の端、下川口地区の下川口小学校。明治9年に開校した歴史ある学校が今年度を最後に休校となります。校舎の壁面には2001年、西南豪雨の爪痕を記録したプレートが設置されています。

現在全校児童は9人。ちなみに2023年は16人でした。ダンス公演を企画したのは地元の市民文化会館の館長、柿谷幸起(かきたにこうき)さんです。

(市立市民文化会館くろしおホール 柿谷幸起 館長)
「自分の中でも母校ではないんですけれども地元に住んでる分その話を聞くたびに『さみしいな』っていうのがあって、なんかやっぱりすべてが『最後』ってなるじゃないですか。『最後の運動会』とか『最後の音楽会』みたいな感じで。終わりに向かってはいくんですけどみんなで、今のこの9人でひとつのものを作って今後の人生といったら大袈裟かもしれないけど、そういうのに生かして振り返ってもらえたらうれしいなという僕の…半分は僕のわがまま企画というか。そんな感じで発案しました」

子ども達が休校について説明を受けたのは春の始業式の日。みな、しっかりと現実を受け止めていました。

(4年 溝渕成くん)
「前からみんなが話よったけん。人数少ないけん、合同にならないかんねってことを。(休校は)ちょっと嫌かな」

(6年 内原瑠泉くん)
「しょうがない…もう市が決めたことだから。前までは自分の住んでるところにも子供がおって、いつも遊びよったけんど、その人もどっかに引っ越して、それで誰っちゃあとも遊ぶこともなくなって、やっぱ人が減っていくと悲しいなぁって」

今回のダンス企画に協力することになってのは愛媛県在住で国内外で公演活動を行っているダンスユニット赤丸急上昇です。7年前に土佐清水市で公演を行って以来定期的に足を運んでいます。

(丸山陽子さん・赤松美智代さん)
「いろんなところ行ってるけど…なんか、ここなんですよね。ほんとに(市民が)自然と一緒にいるっていう感じがすごく好きで。大事な日本の場所」

現実と非現実が入り混じる世界観が持ち味の赤丸急上昇。今回の公演では下川口にあるローソク岩を舞台に観客にもわかりやすく演劇の要素も取り入れた作品を作り上げました。

『ある夏の終わり海で泳ぐ9人の子供たち。ローソク岩に夕陽が灯るその瞬間だけ岩は時空を飛んでいく宇宙船になる。過去と未来に行くことができるのは今、ここに選ばれし下川口小学校の9人…』

子供達は台風が近づくなか土佐清水市を訪れた赤丸急上昇たちから4日間みっちりと動きを学び公演で流す映像を撮影しました。本番は夏休み最後の日です。

(Q.緊張してない?)「うん」
(Q.どんなところが楽しいですか?)「ロケットのメリーゴーランドのところ」
(Q.宿題どれくらい残っちゅうが?)「自主学習20ページ」
「(夏休み)今日で終わりながで、成くん」「わかっちゅうよ」
午後1時30分開場 続々と地元の観客が会場へ
「本人です。赤ちゃんのときの…」

(丸山陽子さん・赤松美智代さん)
「作るとあとはドキドキするだけなんですよ。『お願い、お願い』じゃないけど見守ってて。自分たちが踊るよりドキドキするんですけど。今日よかったね。(いい舞台が)生まれたね。生まれた」

(観客)
「これから先、何十年経ってもきっと、子供達は学校の思い出と一緒に『こんな公演に出てたよ、作り上げたよ』っていうのが残っていくんだろうなと思って、ほんとに感動しました」

(観客)
「子供が三崎小学校なので、(来年度)下川口小学校の子供らが来る学校なので、すごいなんか思い出になるなぁっていう」

(4年 溝渕成くん)
「(うまくいって)うれしかったです。楽しかったし、またやりたいくらいの楽しい思い出」

(市立市民文化会館くろしおホール 柿谷幸起 館長)
「このひと夏にこれだけのものを作り上げたっていうのを自信をもって…あとはみんなこれからもつながっていってほしいですね。仲良く、年齢違いますけど大人になっても連絡が取り合えるような仲でいてくれたらうれしい」

「下川口最高―!!」

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