今回紹介するのは旬を迎えているサンマです。
長引く不漁の中、8月の初水揚げは去年を上回り、豊漁が期待されます。気になる値段や今後のサンマ漁の見通しについて取材しました。

(大崎記者レポート)
「秋の味覚サンマがこちらの店頭にも並んでいます。気になる大きさやお値段は?」

盛岡市中ノ橋通のmonakaにある鮮魚店では8月のお盆明けから主に北海道で水揚げされたサンマを入荷しています。

(株式会社田清 佐藤文雄取締役)
「形の良いものでだいたい200円台から300円台で販売できているところが昨年より割安で良いスタートが切れている」

重さはいずれも100グラムを超えていて、取材したこの日は税込みで216円と270円の2種類がありました。
去年と比べると、同じサイズで100円から200円ほど安い値段で販売しているということです。
漁場が遠く漁から水揚げ、輸送されて店先に並ぶまで早くても5日間はかかるということです。

(男性客)
「もう食べました。酢じめと塩焼きで。漁師さんが命懸けて海に出てるものですから高くてもいい」

(女性客)
「年に1、2回は食べたいですね。ここで水揚げされたもの。できれば地元の魚」

秋の味覚の入荷を歓迎する声がある一方、不漁続きの値上がりに不安の声も…

(株式会社田清・佐藤取締役)
「1匹300円を4本買ってしまうと1000円超えてしまうと、じゃあお肉にしましょうかとなってしまうのかなという不安がありますから、できるだけ安く販売できるようになればいい」

岩手県内は今年、大船渡市で先月23日、釜石市で先月29日にサンマが初水揚げされました。

いずれも去年を上回る水揚げ量と好調な出足でしたが、2024年は豊漁になるとは必ずしも言えないようです。

海水温の上昇などの影響により国内では2010年以降サンマの不漁が続いています。
特に2023年までの5年間、県内は年間で1万トンを下回る記録的な不漁に見舞われ、値段も上がりました。
こうした背景から2024年は試験的に中型と大型の漁船の漁期を早め、小型船も合わせて一斉に漁が解禁となりました。
このため船の数が増えたことで初水揚げの時はまとまった量が確保されました。
好調な水揚げ量はこのまま続くのでしょうか…

(サンマ漁船の漁労長は)
「サンマに聞いてみないと分からない。確実にサンマが増えているとか、いるとかは分からない。量があってくれることに越したことはない」

全国でサンマ漁を行う個人や法人の団体、「全国さんま棒受網漁業協同組合」によりますと、サンマ漁が解禁してしばらく、今年の漁場は例年と比べて公の海=公海でも日本の近くだったということです。


しかしこの後、サンマの群れが日本から離れた場所に移動して、漁のできない水域に入ることも想定されるといいます。
そうなると、水揚げが一時的に途切れる可能性も考えられるというのです。
今後の漁の見通しについては不透明な状況が続く模様です。


市民の台所、盛岡市中央卸売市場の水産物部。

この時季は気象やサンマの回遊するルートによって、日々の入荷状況やサイズが変化していきます。

(盛岡水産一般鮮魚課・佐藤彩斗課長代理)
「水揚げは例年よりは少し安定していますが、サイズ的にはやや小ぶりになってきている。今後どうなるか分からない状況です」

また、三陸産のサンマが食べられるのはいつごろになるのでしょう。

(盛岡水産一般鮮魚課・佐藤彩斗課長代理)
「サンマが三陸に潤沢に入るのは早くて9月の末ぐらいから10月にかけて。今の漁場がもう少し近くなって南下してくれば三陸への入船が増えてくると思います」

長引く不漁により今ではすっかり高級魚になったサンマ。水産関係者も消費者も水揚げの回復によって「庶民の味」の復活を期待しています。

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