この秋、オープンする商業施設「スパイラルガーデン大州」。広島駅から歩いて行くにはちょっと離れたところにできる、かなりの規模のショッピングモールです。

関係者たちが熱く語るコンセプトは「食と教育」、そして「循環」。商業施設なのに、目標は売り上げ額ではないというんです。

シンコー(拓興産) 田中慎一郎 課長
「物を売りたくて作っているわけではなくて、地域の駆け込み寺になりたいなと思っています」

大州に渦巻く街づくりの夢、ご紹介します。

今回、ご紹介するのは、11月にオープンするという新しい商業施設「スパイラルガーデン大洲」。広島市南区で現在、建設中です。広島駅から徒歩だと32分。近くは…なく、決して行きやすい場所ではなさそうですが、コンセプトは「食と教育」、そして「循環」。目指すのは「駆け込み寺」であり、「大人の遊び場」だそうで、ここにしかない魅力が盛りだくさんの施設になりそうなんです。手がけたのは、全く畑違いの、“船のポンプを作っている地場企業” 。開業前の盛り上がりを取材しました。

開業前4か月でなぜ盛り上がる? 決起集会には300人が参加

この日、開催されたのは、「スパイラルガーデン大州」の決起集会。出店者や商品開発の担当者、町内の住民など関係者、およそ300人が参加しました。

シンコー(拓興産) 田中慎一郎 課長
「向かうべき方向は、若者たちに明るい未来を残したい。今回の施設のテーマとしては、食と健康と教育というところに重点を置いてコンセプトを作り込んでいます」

会場で使われた家具や内装は、施設で実際に利用予定のものでした。

岡本幸 記者
「ここに用意された試食品は、スパイラルガーデンのオリジナル商品です」

ひときわにぎわっていたのは試食コーナーです。季節ごとの果物のコンフィチュールをたっぷりのせたタルトや、キノコとじゃこを炒めて作ったタプナードなど…。料理教室の講師陣が考案した、県内産の食材を使った8種のメニューはいずれも大好評でした。

試食した人は…
「おいしかったです。フフフ」
「ちょうどいい味付けみたいな感じで、どんどん食べたい感じでした」
「なんか優しい味で、安心して子どもにもあげられるので、そこがよかった」
「新しいおいしさで、初めての感じだったので、ドリンクも斬新でおいしかったです」
「すごく凝っていて、おいしかったです。よく考えられてあって、心が暖かくなる感じでした」

決起集会の一番の目的は、関係者同士がざっくばらんに連携すること。実は、この日で3回目の開催でした。

シンコー(拓興産) 田中慎一郎 課長
「やりすぎですよね? でも意味があってやっているんですよ。だんだん人数も増えるし、関係もより強固にしていくことで、今後の仕事がスムーズになっていくかなというふうに思っていますので」

スパイラルガーデン大州は、広さおよそ5000平方メートル大規模商業施設です。26の区画には、全国的に有名な店ではなく、広島ならではの店が集結する予定です。「広島ならでは」を重視する姿勢は、出店する店舗(企業)だけでなく、食材・人材・内装材に至るまで。例えば、施設で使われるレンガは竹原産です。

場所は、広島市南区大州。広島駅から歩いて30分余りの県道沿いで、手がけるのは、すぐ隣にある、船のポンプを作る会社「シンコー」です。

船のポンプを作る会社が何を目指して商業施設を?

4か月後のオープンを控え、まさに建設中の現場をプロジェクトを率いる田中さんに案内してもらいました。

シンコー(拓興産) 田中慎一郎 課長
「頭、気をつけてくださいね」

取材が入るのは、初めてのことだそうです。

Q.これっていろんなメディアがもう取材に来ました?
「初潜入です…。初潜入」

建物は4階建てで、コンセプト通り「食」と「教育」に多くのスペースを割いていました。

料理教室や食品加工が行われるキッチンは一般的な店舗の広さの2.5倍です。ここで教わるのは、「料理方法」だけではなさそうです。

スパイラルキッチン担当 瀬川えり子 さん
「もう作り方とかは、インターネットを調べればすぐ出てくるし、だから技術を学ぶというよりも、自分の身体はどこどこの誰々さんの作ったものできているということを知ることがすごく楽しいし、それを食べることで自分が元気になるということを一緒に発見していくような、そんな場所にしていきたい」

シンコー(拓興産) 田中慎一郎 課長
「で、あの奥の区画が児童館になります。真ん中の広いスペース。建物が建つ前のところ(土地)をお借りいただいてたんですけど、本当に子どもたちがのびのび楽しくやっているところというのを作っていただきたくて、(開設を)お願いした」

そして、食べ物や人の「循環」を意識するしかけも、あちこちに作ります。

シンコー(拓興産) 田中慎一郎 課長
「ここがガーデンになるんですけど。ここに森を作ろうっていうことで植木を入れて」

中2階には中庭が設けられ、結婚式も行えるスペースになります。また、施設から出る生ゴミで堆肥を作ったり、その土でハーブを育てたりを体験する場所にも。

モリノス担当 清水早苗 さん
「来てくださるお客さまにも実際に体験をしていただいて、実際に土を作っていくということもしていきます」

Q.大きな実験場みたいですね?
「まさにそんな感じです。それもお客さんを巻き込んで。すごく楽しいことになると思います」

シンコー(拓興産) 田中慎一郎 課長
「大州自体が昔から工場が多くて、色で言ったら灰色というか。何かを買おうとか、何かをしようって、働く以外に行くところではなかった街だと思うんですけど。灰色だった『あ、大州か…』っていうところを『え? 大州か?!』っていうカラフルに変えたいっていう思いがあって」

商業施設というより交流拠点… もはや街づくり!? 

スパイラルガーデン大洲には、託児所や障害のある人が働く場所、仕事をマッチングする企業も入る予定です。そこには、「商業施設」という枠組を超えた地域のエネルギーが渦巻いています。

関係者の連携を目的とした決起集会は、昼の部に続いて夜の部が開催され、それは午後10時まで続いたそうです。

シンコー(拓興産) 田中慎一郎 課長
「地域の駆け込み寺になりたいなと思っています。いろんな相談事が、あそこに行けば解決するんじゃないかなとか、あそこに行けば誰か助けてくれる人がいるんじゃないかなっていう、交流するスタートの地点でありたいなと思っています」

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