オリンピックの興奮冷めやらぬ中、いよいよ今週パラリンピックが開幕し、高知県勢からは過去最多の4人選手が出場します。26日は、前回大会銅メダルのパラバドミントン藤原大輔(ふじはら・だいすけ)選手。「最も力になる」という地元・高知の応援を背に、「ミラクルを起こす」と意気込みます。

高知市出身の、パラバドミントン藤原大輔選手(30歳)。

いよいよ開幕するパリパラリンピックに、前回の東京パラリンピックに続いて、“2大会連続”で出場します。大会に向け合宿で調整していた藤原選手が、先日、取材に応じ心境を語りました。

■藤原大輔選手
「オリンピックが始まってから、『同じ場で戦うのかな』っていうのを見ていくと、『いよいよだな』っていう実感が、ここ1~2週間ぐらいで湧いてきたような感じです」

Q.前回・東京大会も出場し、今回は「パリ」だが?

■藤原大輔選手
「(東京大会は)コロナで無観客だったんですけど、今回は有観客。オリンピックが始まったんですけど、あれだけのお客さんが入るパラリンピックは、僕たちにとっては初めての経験だと思うので、“フレッシュ”な、“初出場”のような気持ちで戦いを楽しめるのかなと思います」

1994年生まれの藤原選手は、生後1か月ほどで医療事故による感染症で左足を切断し、幼少期から義足での生活を送ってきました。そうした中、小学4年生(9歳)の時に「バドミントン」に出会いました。

■藤原大輔選手
「地元の小学校で活動しているバドミントンのスポーツ少年団のチームで、2つ上の姉がやっていたので、その影響でバドミントンをすることになって、小学校、中学校・高校と、普通に部活動で…。本当に、ごく普通の、誰でも経験するような『部活動生』だったので、何か『特別扱い』されたわけでもないですし、普通に練習に入って、みんなと同じようにやって、みんなと同じように自転車で帰って…みたいな生活を送っていました」

「義足」ではありながらも他の部員と同じようにバドミントンに打ち込む日々で、自らのハンデと向き合いながら、「競技の楽しさ」も感じ続けてきました。

■藤原大輔選手
「先生もそうだし、同級生や先輩・後輩に、いい意味で『“フラットに”接してもらったのかな』と思います。僕みたいな、下肢に障がいがあると、けっこう相手の球(シャトル)を取るのが大変だったんですけど、その分“決めるチャンスはある”というか…」

「『対等』と言ったら怒られるかもしれないんですけど、自分の中では、『うわ~、もう絶対勝てないわ』ということは無くて、けっこう『対等に戦えた』というのが、一番、“楽しく続けられた要因”なのかなと思います」

そんな中、高校2年生の時に出会ったのが、「パラバドミントン」でした。

■藤原大輔選手
「(知り合いから)『障がい者のバドミントンの大会があるんだよ』っていうのを教えてもらって、そこから『パラバドミントン』の世界に入っていくことになりました。基本的なルールは一緒なんですけど、(SL3クラスは)コートが狭くなった状態だったので、『簡単なのかな』と思ってやってみると『意外と難しかった』という…」

「パラバドミントン」には、「立位」と「車いす」、2つのカテゴリーがあり、その中で障がいの程度によってクラスが分かれています。藤原選手のシングルス「SL3」のクラスには、「義足を付けるなど足に障がいがありながらも立ってプレーできる選手」が出場しますが、このクラスは「通常の半分の広さのコート」で戦います。

■藤原大輔選手
「コートが狭くなって『決める空間』が少なくなった。その分ラリーが続くようになったので、『なかなか決まらない、シャトルが相手の床に落ちない中で、どう点数を取るか』という『駆け引き』が増えたかなと思います」

パラバドミントンがパラリンピックの正式種目になった前回の東京大会、藤原選手は、混合ダブルスで銅メダルを獲得しました!

ただ、今回出場するのは「シングルス」のみ。前回の東京大会では「4位」で惜しくもメダルに届かず、今シーズンもここまで思うような成績が残せていません。

■藤原大輔選手
「『メダリストとしての挑戦』というよりは、あくまで、『ただの挑戦者』みたいなものだと思っている。どの競技もそうですけど、この大会は『何が起こるかわからない』ので、そこで自分はもう1度『金メダル』を目標に掲げて、当り前じゃないんですけど、“一発逆転・メダル”を狙って、頑張りたいと思います」

体格やパワーで劣る外国人選手の攻撃を、「どれだけ凌げるか」。「粘りのディフェンス」を武器に、再び“挑戦者”として挑むパリで、「“ミラクル”を起こす」と意気込みます!

■藤原大輔選手
「やっぱり、地元の方々の応援が僕の力の源になります。前回も、ミックスダブルスで(メダルを)獲ったんですけど、本当に“ミラクル”なので…。その“ミラクル”は、『高知県民や、応援してくれる皆さんのおかげで起きる』と、僕は思っているので、今回も、遠くからですけど、たくさん応援してパワーを送ってくれたらと思います。よろしくお願いします」

藤原選手のパラリンピックは、日本時間29日・木曜日の午後に予選が始まり、メダルが懸かった準々決勝以降の試合は、日本時間で9月1日と2日に予定されています。

■藤原大輔(ふじはら・だいすけ)
1994年2月17日生まれ、高知市出身。旭東小学校→城西中学校→高知西高校→筑波大学。大学卒業後はLINE(現:LINEヤフー)に3年間所属し、2019年からダイハツ工業所属。生後1か月ほどで医療事故による感染症で左足を切断し、幼少期から義足での生活を送る。9歳の時に地元のスポーツ少年団でバドミントンを始め、中学・高校とバドミントン部に所属。高校2年生の時にパラバドミントンを始めた直後から頭角を現し、世界選手権など国際大会での入賞経験多数。2021年の東京パラリンピックでは、男子シングルスで4位、混合ダブルスで銅メダル獲得。

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