総務省が毎年発表している「家計調査」。全国52の県庁所在地と政令指定都市を対象に、1世帯(2人以上)当たりの年間支出額や、購入量についてまとめています。2024年2月に発表されたデータから紐解く、高知市民のお財布事情とは?

高知市民が一番お金を使っている食品は?

高知市が年間支出額、購入量ともに全国1位だったものは何だったのでしょうか?

■カツオ

さすが、カツオのタタキで有名な高知県。納得の結果です。ちなみに、今回の調査対象となった全52都市の平均はおよそ1700円だったので、高知市の支出額は4倍以上!2位は水戸市で2870円、3位は仙台市で2711円と続きます。また、総務省に記載のデータを遡ると、2005年~2023年の18年連続で1位だと分かりました。高知市民のカツオ愛は本物と言えそうです。

■白菜漬け

カツオに続き、意外なものもランクイン。それは…「白菜漬け」。全52都市の平均644円と比較すると、支出額は2011円と3倍以上でした。確かに街路市やスーパーマーケットなどを見ても、漬物の品揃えは多い印象。

■他の柑橘類(ユズ・すだち・ポンカン・伊予かん・レモン・文旦など)

ユズなどの「他の柑橘類」では、他の四国の都市をおさえて堂々の1位!支出額は4780円で、全52都市の平均2248円の2倍以上、年間の購入量では12168gと2位の松山市を大きく引き離しています。

ユズの生産量は日本一で、日本有数のユズの生産地として知られる高知県。「田舎寿司」など、果汁や果皮を調味料や薬味などとしてふんだんに使う食文化も影響しているのかもしれません。

他にも乳児服、大人用運動靴も1位にランクイン。また、支出額のみ全国1位だった項目は、卵、ビスケット(高知県はミレービスケットが有名です!)、コーヒー飲料など、計16品目でした。

高知市民は肉食系?「意外なもの」が1位に!

外食のなかで、高知市民が特にお金を使っているもの、それは、焼肉です。

支出額の全国平均が8745円なのに対し、高知市はおよそ倍の16,250円。次いで2位が大阪の堺市で15,270円、3位が大分市で14,365円と僅差で続きます。

外食関連だと他には、飲酒代が東京23区の34,712円に次いで全国2位で32,185円。(全52都市の平均が16,397円)。一方で、家飲みでは節約するのか、発泡酒の支出額は全国4位ですが、ビールやワイン、焼酎などは揃って下位にランクイン。おきゃく文化が根付く高知県の県民性がうかがえます。

カツオやゆずなど高知らしいものから、焼肉など意外なものまでランクインしましたが、皆さんのイメージ通りだったでしょうか?地元の特産物を愛し、人とのつながりを大切にする高知市民の特性が現れた結果になりました。

ところで、この「家計調査」とはそもそもどういった調査なのでしょうか?

「家計調査」は何のためにやっているの?

国や地方公共団体などで、景気判断、医療費の算定など、経済政策・社会政策の立案のための基礎資料として使用するのが目的です。総務省統計局が実施していて、調査結果から国民の家計収支の実態を把握できます。

「家計調査」の対象は?

全世帯の中から無作為に選んだ9000世帯が対象です。そのうち学生の単身世帯や外国人世帯など、対象として選出されない7つの除外要件があります。高知市内では、70~120世帯ごとに1調査区と区分けしていき、全調査区のうち16調査区を家計調査の標本として無作為に抽出。1調査区あたり約70~120いる世帯の中から、さらに14世帯を調査対象世帯として抽出します。内訳は、単身世帯が2世帯、2人以上の世帯が12世帯の計14世帯です。

調査対象になった世帯には、記録用のキットが支給されます。

調査対象者提供・記録キットの写真(SAMPLEの文字は記事編集の際に入れています)

こちらは、紙の記録用紙。(オンライン回答の場合、紙への記入は不要)

筆記用具、メモ帳、箱が2つ。
箱の中身は電卓とキッチンスケールです。

「家計調査」の期間は?

調査自体は年間を通して行われていますが、選定された場合に実際に協力する期間は、単身者世帯で3か月、2人以上の世帯で6か月です。どういうことかというと、調査区の中で選ばれた14世帯を半年ごとの交代制にしており、最初の6ヶ月、次の6か月でもう7世帯ずつ調査を担っています。さらに、調査は16調査区が一斉に開始しているわけではありません。調査区ごとに調査開始月を1か月ずつずらしていて、毎月どこかしらの調査区が調査をスタートしている形になっています。
そのため、1か月に稼働している調査対象世帯は96世帯となります。(単身世帯含むと104)

ちょっとめんどくさそう…断れるの?

統計法に基づく調査のため、特別な理由がない限り協力する義務があります。「ちょっとめんどくさそう」と思った方もいるかもしれませんが…近年は、家計簿に手書きで記録する従来の方法以外に、オンラインで回答できるサービスも。また、レシートの写真を撮影すると文字を認識して自動で入力される機能や、オペレーターによる代行入力サービスもあります。定められた期間を満了すると、単身世帯には9000円、2人以上の世帯には21,000円を上限として報償費が振り込まれます。

実際に家計調査に協力中の方に話を聞くことができました

Q.家計調査に選ばれたのは初めてですか?
「2回目です」

Q.2回選ばれることもあるんですね!前回はいつ?
「2018年の夏以来の6年ぶりです」
(同じ調査区には一定期間再選定されないように配慮されているそうです。今回お話を聞いた方は前回とは違う調査区の住所に引っ越しされたため、たまたま選ばれたのかもしれません)

Q.前回との変更点は何かありますか?
「前回の調査では回答が手書きのみでしたが、今回の調査ではPC・スマートフォンを使用できるようになりました」
(2019年12月からは全国でオンライン調査が開始)

資料提供:総務省統計局

「外出先でもすぐに入力できますし、レシートを撮影して送信する仕組みがあり、専門のオペレータによる代行入力サービスや、文字認識による自動入力を使用することもでき、前回と比べて負担は大幅に軽減されている印象です。まとめ買いなどで一度に大量の商品を購入した場合、手書きで対応した前回の調査では手首が痛くなることがありましたが、今回は自動・代行入力やキーボード入力で対応できるので、格段に楽になりました」

Q.具体的な記録方法について教えてください
「初めの1か月は食料品の量を測定して記録する必要があります。生鮮食品はグラム単位、高知県民になじみ深いアルコールなどはml単位などで記録する必要があり、必要に応じて調査開始時に配布されたキッチンスケール(返却不要で調査後も使えるとのこと)で量って記入します」

ピーマンもグラム単位で記録
液体の場合はミリリットル単位(資料提供:総務省統計局)

Q.ぶっちゃけ、めんどくさい…?
「いいえ!最初の1か月の計測は、うっかり忘れかけることもあり少々手間がかかりますが、日ごろから家計簿を残している場合はさほど負担には感じないように思います。また、普段お金の流れを気にしない方には、普段いくら・どのようなモノ・コトにお金を使っているかが目に見えるので、無駄遣いの反省などにも役立つかもしれませんね。私たち夫婦は楽しんで取り組ませてもらっています」

家計調査は、政策立案の際の基礎資料になり、国民の生活の実態を正しく把握するために地味な調査が実施されていることが分かりました。あなたのお家もひょっとしたら調査対象になるかもしれません。選定される確率はかなり低いので、選ばれた際はラッキーかも。楽しみながら調査に協力してみてはいかがでしょうか。

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