50年以上前、高知市の中学生が小型UFOを捕まえたとして全国的に話題となった「介良事件」。その介良事件から着想を得た映画の撮影が高知県東部で行われています。

「テイク2、本番」
「いおりちゃん、ニンジンもちゃんと食べなさい。べっぴんさんにならんぞね」

この日、高知県安田町の住宅で行われていたのは、映画「ミラクル☆サマー」の撮影です。東京で暮らすヒロインが高知に帰省中、弟のUFO捕獲騒動に巻き込まれていくというSFムービーです。今から50年以上前、高知市で起きたUFO捕獲事件「介良事件」が脚本の元になっています。

(蔡融霖 監督)
「UFOを目撃するのはよくあるんですけど、それを捕獲して家に持ち帰って、実験したりするのがおもしろくて、いつか映画にしたいとずっと思ってました」

監督の蔡融霖(サイユウリン)さんは中国人留学生で、現在は東京藝術大学大学院で映画を専攻しています。大のSF好きだったことから介良事件のことを知り、今回の映画を企画しました。この日は、数年ぶりに高知に戻ったヒロインが家族と食卓を囲むシーンの撮影が行われていました。

「何を笑いゆう。彼氏?」
「そんな余裕ないがやけど。仕事やき、仕事」

映画は全編、土佐弁で展開されます。出演者のほとんどが県内出身ですが、主演の「山本奈衣瑠(ないる)」さんは東京出身。慣れない土佐弁に苦労したそうです。

(主演 山本奈衣瑠さん)
「イントネーションが関西弁とはまた違っていて、それが合っているのか合っていないのか分からないところが難しかったですけど、現地のみなさんの声を聞いたり、指導をしてもらったりしてなんとか頑張っています」

母親役は高知市出身の女優、まひろ玲希(たまき)さんです。土佐弁を話すこと自体に苦労はなかったそうですが…

(主人公の母親役 まひろ玲希さん)
「演じてみて、土佐弁がこてこて過ぎないようにと、監督に注意されたので(気をつけないといけないと)思いながらもこてこてで、アドリブが出ちゃいますよね」

子役の一人、上山(うえやま)くんは高知市に住む小学2年生。オーディションで選ばれました。

(上山就暉くん)
「(撮影は)ちょっとドキドキするけど、もっとやりたくなってきました。みんなと知り合えて楽しくなって、映画(の撮影が)終わるのが悲しい」

撮影は7月15日からスタート。これまで高知県安芸市の伊尾木洞や中芸地域でロケが行われてきました。地元の人たちの協力もあり、撮影は順調に進んでいるといいます。

(蔡融霖 監督)
「本当にすごく協力していただいて、関東でやっていたら一発で「ごめんなさい」と断られることが多いが、(高知の人は)心が温かくて感動しました」

高知ロケに全面協力しているのが、高知県安田町にサテライトオフィスを構える東京の映像制作会社「東京映画社」です。ロケ地や宿泊場所の紹介、エキストラとして出演する地元住民の手配など、様々なサポートを行っています。協力の背景には映画のロケを通して、地域に賑わいを創出したいという狙いがあります。

(東京映画社 大倉孝敏さん)
「お祭りのシーンがあるが、エキストラが30人40人いる。すごく大規模な人数で、地元の方に協力してもらわないといけないというのがあったが、地域の人たちがすごく前向きで、実際撮影が始まるとすごく楽しんでいる。地元の風景を(映画に)使ってもらって、それが映画になるということをすごくみなさん楽しみにしている」

UFO捕獲事件という前代未聞の出来事がきっかけとなった今回の映画。蔡監督は、特に今の生活がつまらないと感じている人や悩みを抱えている人にこそ、この映画を観てもらいたいと話します。

(蔡融霖 監督)
「ふだんの生活の中では気づかないけど、いろんな奇跡がそこらじゅうにいっぱいあると思うので、それに気づいてもらえるような作品を目指したいと思います」

撮影は8月1日まで安田町、奈半利町、田野町、馬路村で行われ、映画は2025年2月に完成する予定です。その後、海外の映画祭に出品し、関東圏や高知の劇場での公開を目指すということです。

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。