2024年から150年前、伊豆半島の先端付近の海で多くの美術品を積んだフランスの船「ニール号」が沈没しました。船は、今も海の底に沈んでいてその歴史的な価値を知ってもらおうとイベントが開かれました。

「黙とう」

静岡県南伊豆町入間地区の寺「海蔵寺」です。7月7日は、150年前の船の事故を伝える記念碑に花が手向けられました。住民などが参加するシンポジウムも開かれました。

<東海大学 木村淳准教授>
「春の季節の変わり目のうねりと濃霧の中でニール号は暴風雨にあい、入間沖の岩礁で座礁する。座礁の被害を最小限にとどめる努力もむなしく多くの船員が命を落とした」

フランス船「ニール号」は1874年(明治7年)、南伊豆町の海で暴風雨のため座礁し、沈没しました。日本政府がウィーン万博に出品した多くの美術品などを積んでいましたが帰国の途中、船員らおよそ90人とともに遭難しました。

美術品は一部が回収されましたが船体の状態などわかっていないことも多く調査が続いています。

<東海大学 木村淳准教授>
「当時の絵画等の記録、様々あるんですけれども、正確にどんな事故が起きて、どこで座礁して、ニールはどこで海底に鎮座していたのか」

水中考古学が専門の東海大学の木村淳准教授は、潜水調査が専門の鉄多加志准教授とともに「ニール号」について調べています。

2023年7月の調査です。うねる海の中へ。およそ30分後…

<東海大学 木村淳准教授>
「見つけたぞ」

水深34メートル地点で見つけたのは「ニール号」に関連するとみられるものでした。事故の全容に近づこうとしています。

<東海大学 木村淳准教授>
「船体の一部ですね。甲板にこうしたビットというものがあって/ロープを巻いて船を係留する。そういったものがロープが巻かれたまま残っている」

2024年は、沈没から150年です。木村准教授は、海底の遺跡を活用して「ニール号」の悲劇について改めて、情報発信をしたいと考えています。

<東海大学 木村淳准教授>
「遺跡は文化財のひとつ。歴史を語る記録装置として機能していることは非常に重要。多くの人が遺跡の存在を知ってくだされば新たな研究の方向性が見えてくるのかなと」

「ニール号」は、日本とフランスをつなぐ海の遺産としても歴史的価値が高いことから、今後も地元と協力しながら調査が続けられます。

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