(4日、プロ野球 福岡ソフトバンクホークス3―2中日ドラゴンズ)

 一塁ベース上で両手をグッと握りしめた。ソフトバンクの栗原陵矢からようやく笑みがこぼれる。

 「展開的に僕が打っていたら、勝てるようにいけた試合でしたから」。土壇場での執念の一振りがチームを4連勝に、そして巨人、楽天と並ぶ交流戦首位に導いた。

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 同点で迎えた九回1死二塁だった。1ボールからの2球目。中日の守護神マルティネスのチェンジアップが少し高めにきた。「失投」を見逃さない。「ちょっと(バットの)先でしたが」。中前に運び、決勝点をもたらした。

 開幕以来、不動の「3番」柳田悠岐が5月31日の広島戦で左太もも裏を負傷した。筋断裂の診断で、レギュラーシーズン中の復帰は厳しい状況だ。それまでは主に6番だった栗原が、翌6月1日の広島戦から「3番」に座る。

 「どうしても(柳田と)比べられることは多いのかなとは思うけど、自分がやるべきことを全力でやろうとしている」

 この日は、五回1死一、二塁で三邪飛に、七回1死一、三塁では空振り三振に倒れた。その時点で4打数無安打。このままでは終われない。そんな悔しさをバットに込めた決勝打だった。

 4月は打率1割台と低迷したが、これで7試合連続安打と本来のしぶとい打撃を取り戻しつつある。「もっと僕が打てれば楽な展開に持っていける試合が何試合かあった。頑張りたい」。反省の言葉を忘れないヒーローは、打線を引っ張る意気込みだ。(鷹見正之)

 松本裕(ソ) プロ10年目で初セーブ。「いつも通り自分のやることをやってと思った。まずは一歩目を踏み出せたかな」

 広瀬(ソ) ドラフト3位ルーキー。17打席目でプロ初安打となる中前安打を放つ。「うれしいというよりホッとした気持ちが強い。記念球? 親に贈ります」

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