全米女子オープンは6月2日、ペンシルベニア州で最終ラウンドが行われました。

首位と3打差の5位から出た笹生選手は、序盤はショットとパットが好調で、2番パー4では距離のあるバーディーパットを決めました。

6番パー3では長い距離のパットが残り、ダブルボギーをたたきましたが、12番パー3と13番パー5で連続バーディーを奪って盛り返し、スコアを通算3アンダーとして、ここで単独トップに立ちました。

厳しいコースセッティングで上位選手がスコアを落とすなか、笹生選手は終盤も集中力を保って安定したプレーを続け、バーディー5つ、ボギー1つ、ダブルボギー1つとスコアを2つ伸ばして、通算4アンダーで3年ぶり2回目の優勝を果たしました。

海外メジャー2勝目は、日本選手では男女を通じて初の快挙です。

渋野日向子が2位に入る

一方、首位と2打差の4位で出た25歳の渋野日向子選手は、序盤にスコアを落としましたが、その後は粘りのプレーを続け、12番のパー3では右に大きく曲がるラインを読み切ってバーディーを奪い、ガッツポーズを見せました。

渋野選手はバーディー2つ、ボギー4つと通算1アンダーで2位に入りました。

このほかの日本選手では、古江彩佳選手がスコアを2つ伸ばして通算2オーバーで6位、竹田麗央選手と小祝さくら選手が通算3オーバーで9位、山下美夢有選手が通算4オーバーで12位でした。

東京都出身の22歳 笹生優花選手とは

笹生優花選手は東京都出身の22歳。

日本人の父とフィリピン人の母の間に生まれ、8歳のころ、世界の舞台で活躍する宮里藍さんらに憧れて競技を始め、練習環境を求めてフィリピンに渡りました。

父の正和さんとともに親子でプロを目指すなかで、反復横跳びや野球のノックなど厳しいトレーニングを重ね、ゴルフの技術だけでなく体力面も鍛えてきました。

持ち味は体幹の強さを生かした力強いショットで、今シーズンのドライバーの平均飛距離は日本勢トップの265ヤードで、アメリカツアーのメンバーの中でも上位に入っています。

さらに子どものころから多くの国のゴルフ場でプレー経験を積んだことで、状況に応じて使い分ける巧みなショットも身につけるなど、技術の高さにも定評があります。

アマチュアでは、フィリピン代表として出場した2018年のアジア大会で優勝し、2019年には男子の海外メジャー大会「マスターズ・トーナメント」と同じ会場で行われる世界大会で3位に入るなど、頭角をあらわしました。

日本では、2020年、19歳でプロデビューして、2戦目でツアー初優勝を果たすと、3戦目も勝って2連勝するなど、一気にトップ選手として活躍し始めました。

そして2021年には、女子ゴルフの世界最高峰、海外メジャーの「全米女子オープン」でプレーオフを制して、史上最年少の19歳で初優勝する快挙を成し遂げました。

同じ年に行われた東京オリンピックにはフィリピン代表として出場し、9位に入りました。

その後は日本国籍を選択し、アメリカを拠点に海外ツアーに本格参戦するなかで安定した成績を残し続けてきました。

日本選手と海外メジャー大会

女子ゴルフの日本選手で初めて海外メジャーを制したのは、1977年の全米女子プロ選手権で優勝した樋口久子さんでした。

その後は、日本選手として初めてアメリカツアーの賞金女王になった岡本綾子さんが1980年代から90年代にかけてたびたび優勝を争いました。

2000年代に入ると、アメリカツアーで通算9勝した宮里藍さんが全米女子プロ選手権や全英女子オープンで3位に入りましたが、優勝はなりませんでした。

そして、樋口さん以来42年ぶりに海外メジャーの壁を破ったのが、2019年の全英女子オープンを制した渋野日向子選手でした。
プロテスト合格後、わずか1年の渋野選手が、海外メジャーのしれつな優勝争いのなかでもトレードマークの笑顔を絶やさず、歴史的な快挙を果たした姿は、海外メディアから「スマイリング・シンデレラ」と呼ばれました。

2021年の全米女子オープンでは、笹生優花選手と畑岡奈紗選手が激しく競り合ったすえ、笹生選手がプレーオフを制して19歳の史上最年少で初優勝し、日本の女子選手では3人目となるメジャー制覇を果たしました。

同じ年には男子で松山英樹選手が「マスターズ・トーナメント」で優勝し、日本の男子選手として初めて海外メジャー大会を制しました。

その後は、2023年の全米女子プロ選手権で笹生選手が2位に入り、日本選手初の海外メジャー2勝目にあと一歩まで迫っていました。

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