(27日、第72回春季東北地区高校野球秋田県大会決勝 明桜1―0秋田商)

 明桜の先発・井上裕貴選手(2年)は準決勝まで遊撃手だった。本来は投手。昨秋に下手投げをやめ、腕の角度を探ってきた。普段のノックの送球のときにもいろいろ試し、今の角度は肩より少し上。「背番号6」がようやくフォームをつかみ、この日の公式戦初登板で生き生きと投げた。

 「野球では別人になるんです」。強気が前面に出てくるらしい。真っすぐで押した。四回に続き、五回にも背負ったピンチは2死一、三塁。直球で遊ゴロを打たせて切り抜け、あとをリリーフエースの松橋に託した。

 先発を告げられたのは、球場入りしてからだった。これまでしっかり投げてきた投手が後ろにいると考えれば、緊張もほぐれていったという。

 今回の投球で「自分もいるんだぞと、アピールできたと思う」。東北地区大会、そして夏に向けて心がはずんでいる。

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