王鵬(左)を押し出しで降す琴桜=両国国技館で2024年5月19日、三浦研吾撮影

大相撲夏場所8日目(19日、東京・両国国技館)

○琴桜(押し出し)王鵬●

 三役以上5人が休場し、上位陣のふがいなさが目立つ今場所だが、横綱だった祖父のしこ名を継いだ琴桜が結びで王鵬を降し、大関の意地を見せた。「辛抱して相撲が取れた。我慢して自分の勝機を見いだした。気持ちで負けないように」と冷静に振り返った。

 王鵬の祖父は「昭和の大横綱・大鵬」で、ともに元関脇の父を持つ。互いに先手の取り合いで突き押し。琴桜がやや押し勝って出たが、王鵬も粘って決め手を与えず土俵狭しの攻防になった。最後は琴桜が左から突いて、相手の体を起こし右から土俵外に押し出した。

 2日続けて結びで大関を破っていた埼玉栄高の2年後輩を退けたが、九重審判長(元大関・千代大海)は「王鵬はスタミナが切れたのか。体は引けを取らないから押し込まれたら分からない。反省すると思う。喜べないから」と話した。

 優勝争いを引っ張るのが、大関の役目だ。中日を終え、新小結・大の里ら2人の1敗力士を1差で追う琴桜は「いつも通り自分のできることを集中してやるだけ」。自身3回の優勝経験を踏まえ、九重審判長は「今からエンジン全開。優勝を意識したり、周りのことを考えたりする」と語る。【武藤佳正】

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