男子100メートル決勝、8位に終わり顔をしかめるサニブラウン・ハキーム=国立競技場で2024年5月19日、中川祐一撮影

陸上セイコー・ゴールデングランプリ(19日、東京・国立競技場)

男子100メートル サニブラウン・ハキーム(東レ)=8位(10秒97)

 スタートして間もなくスピードが緩んだサニブラウン・ハキームの姿は、左脚がつって失速した2023年日本選手権男子100メートル決勝とほぼ同じだ。今回は左右の脚がつったという。国内のファンに走りを見せる数少ない機会でのアクシデントに、「詰めが甘いのかな」と苦笑するしかなかった。

 23年世界選手権ファイナリストは、パリ・オリンピックの参加標準記録(10秒00)を突破すれば代表入りが決まる状況だった。予選は流し気味に見えても、10秒07。ただ、サニブラウンは「意外と体に(負担が)来ている感じだった」。

 今季は3月の米国での初戦から10秒0台をマークし、標準記録突破も時間の問題だった。しかし、「まだ(予選から決勝まで)2~3本そろえるトレーニングができていない」と万全のコンディションでないことが響いた。

 一方、かねて課題とするスタート時の加速に、最近は改善が見られるという。「今までは2歩目で足を刻めず、それをカバーするために3歩目がオーバーストライドになっていた。それが昨秋ごろから(2歩目で)足がいい角度で返るようになり、3歩目のロスがなくなった」

 最初の足の運びがスムーズになったことで、早い段階でスピードに乗れるようになった。今季の好調の要因だ。

 成長の一端を披露したかったが、決勝で8位。今後は欧州のレースを転戦し、標準記録突破を狙う。「今年はチャラチャラしないぞという気持ちでやっている」。日本のエースにとって、五輪に向けて地に足を着ける機会にもなった。【岩壁峻】

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