日本勢に大きな「壁」が立ちはだかった。
パリ・パラリンピックの代表選考会を兼ねたパラ陸上の世界選手権が神戸市で17日に開幕し、最初に行われたトラック種目でいきなり世界記録が誕生した。
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男子5000メートル(視覚障害T11)のエウチン・ジャッキス(ブラジル)だ。
思い描いていた通りのレース展開だった。
スタート直後は後方にかまえた。先頭を同じブラジル選手が引っ張る。
「自分は800メートルとか1500メートルのほうが得意。2回目のガイド(伴走者)に交代したときにスピードを上げて抜くというプランだった」
3400メートル付近で一気に前へ抜け出した。そのまま先頭を守り、14分53秒97でフィニッシュ。従来の世界記録を3年ぶりに更新する快走に「結果に非常に満足している。日本にきたのは2回目だが、ますます日本が好きになった」と笑った。
この32歳の走りに危機感を感じたのは、結果的に「前世界記録保持者」となった銅メダルの唐沢剣也(SUBARU)だ。終始、2、3番手をキープしていたが、ジャッキスの仕掛けに反応しきれなかった。
「金メダルを目標にしていたので、悔しい。昨年の世界選手権で金メダルをとって、正直、今回は油断があった。しっかり気を引き締めないといけない」
ジャッキスは3年前の東京パラリンピックで金メダルを獲得した実力者。日本勢も力をつけてきたとはいえ、その差は、どうなっているのだろうか。
このレースで5位に入った和田伸也(長瀬産業)は「東京パラリンピック後の3年間で私自身も強くなっているが、周りもどんどんレベルアップしている。戦国時代ですね」。
約3カ月半後に迫ったパリ・パラも、今回と同じような顔ぶれで争われることが予想される。誰が混戦を抜け出すか、注目の種目だ。(辻隆徳、室田賢)
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