プロ野球・ヤクルト

◯ヤクルト3―1巨人●(12日・神宮)

 あの日、自分のためにうれし涙を流してくれた母にささげるバックホームだった。今季開幕直後に育成から支配下選手登録されたヤクルトの岩田幸宏が「母の日」の一戦で、守備固めによる出場直後にビッグプレーを見せ、巨人の首位陥落に貢献した。

 1点リードの八回2死一、二塁。巨人の代打・岸田行倫がとらえた打球は岩田の守る中堅前に飛んできた。当然、バックホーム態勢。捕球するやいなや、左腕を振って、本塁に投げた。二塁走者の吉川尚輝も俊足を駆って、滑り込んだが、判定はタッチアウト。送球のみならず冷静さも光った。投げる方向の選択だ。やや三塁寄りに投げることで捕手・中村悠平のタッチのチャンスを増やしたことが奏功した。

 2021年の育成ドラフト1位で独立リーグの信濃から入団した3年目。今春、支配下登録が決まった際、母親に連絡すると泣いてくれたという。

 この日の朝、母に「ありがとう」と日ごろの感謝を伝えると「試合で活躍してくれたらいいよ」と言われた。その言葉を実現するプレーに「良かったかなと思います」。26歳の孝行息子は、はにかみながら喜んだ。【岸本悠】

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