Jリーグ

◯セレッソ大阪1―0川崎フロンターレ●(13日・ヨドコウ桜スタジアム)

 セ大阪のDF登里享平は人一倍強い気持ちでこの一戦に臨んでいた。相手は15年在籍した古巣の川崎。今年セ大阪に移籍してからの初対戦で燃えないわけがなかった。

 「複雑な気持ちだったが、セレッソの自分の応援歌を歌ってくれた時に、しっかりと腹をくくって挑むことができた」と登里。攻撃では新たな役割を全うした。ボランチの近くに位置に立ち、ボールを引き出す「偽サイドバック」。絶妙なパスコースを見つけ、味方の攻撃の起点となった。

 守備でマッチアップしたのはFW家長昭博。数々のタイトルをもたらしてきた盟友を相手に激しいマークで仕事をさせなかった。後半25分にはその家長のドリブル突破を組織的な守備で防ぎ、攻撃に転じたところから、FWレオセアラの3試合連続ゴールとなる決勝点が生まれた。

 香川西高から加入した川崎で4度のリーグ優勝などに貢献。明るい性格でムードメーカー的な存在でもあった。初の移籍は「自分が一番びっくりした」と言う。それでも移籍を決断したのは、自らの経験を生かし、セ大阪に初のリーグ制覇をもたらすことが自身の成長につながると考えたからだ。

 試合後、川崎の応援席へ向かい、メガホンを握ってあいさつした。川崎時代のユニホームを掲げ、涙するサポーターもいた。「温かく迎えてくれた。築いてきたものは胸を張れる」

 チームは開幕から無敗記録を「8」に伸ばし、4年ぶりに首位に立った。「勝ち続ける成功体験を自信、確信に変えていくことが全て。もっともっとサッカーの(内容の)部分で追求していければ」。桜色のシャツに袖を通した百戦錬磨の33歳は何とも心強い。【生野貴紀】

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