“マイペース”な年間女王
揺るがず、動じず。
竹田選手のプレーや言動を見ていると、プロ3年目を終えたばかりとは思えない落ち着きぶりに驚く。
自身の性格をひと言で表すと「マイペース」。
歴代3位のシーズン8勝、獲得賞金額は史上最高となるおよそ2億6573万円。
圧倒的な成績を残した要因には、その精神面の強さがうかがえる。
竹田麗央 選手
「人のことはあまり気にならないし、人からいろいろ言われても、“自分は自分だし”って思う。ゴルフは自分1人でいろいろ考えてやっていかないといけない。こういう性格はゴルフ向きなのかなと」
持ち味は飛距離 そのルーツは
竹田選手の最大の持ち味は飛距離だ。
今シーズンのドライバーの飛距離、「ドライビングディスタンス」は263ヤード余りで国内ツアートップ。
飛距離が求められるロングコースのパー5の平均スコアもトップだった。
特にドライバーショットは「飛距離も出たし曲がらなかった」と振り返り、ティーショットが飛ぶことで2打目で短いアイアンを使えたり、ロングホールでツーオンをねらえたりでき、攻めのゴルフに持ち込めたことが好調を支えてきた。
その飛距離はどう磨かれたのか。
ルーツは子どものころからの教えにあるという。
竹田選手の母親は今も指導を受けるプロゴルファーの哲子さん。
そして叔母は元賞金女王の平瀬真由美さん。
この2人に小さいころからあることばをかけられていた。
「母からも叔母からも『飛距離は絶対、武器になるから』というのは小さいころからずっと言われていた。子どものころから飛ばす意識はあった」
哲子さんから受けてきた指導の基本は「型にはめずに好きなように振らせる」こと。
その中で竹田選手は下半身主導で体重移動していく自分に適したスイングを自然と身につけていった。
ショートゲームの改善
さらに今シーズンの飛躍の裏には飛距離だけでない“小技”の改善もあった。
竹田選手がこれまで課題としてきたのが「ショートゲーム」。
おおむね100ヤード以内のアプローチやパッティングを指す。
「強い選手に比べたらショートゲームがまだまだだった。そもそも練習量が少なかったので、しっかり時間を取って練習するようにした」
以前はショットの練習が7割で余った時間でショートゲームの練習をしていたというが、去年のオフからは逆に7割をショートゲームに割くように変えた。
特にクラブのフェースを開いて高さを出すアプローチの感覚をひたすら磨き、ショットが乱れてもスコアを崩さないゴルフもできるようになっていった。
「やっぱりショートゲームがスコアメークでは1番大事だなと気づけた。優勝争いでグリーンを外した時に、パーで抑えられるか、ボギーになるかでは本当に差がつく。そこでショートゲームの大切さをすごく感じた。今では結構、自信を持って試合でもできている」
夢だったアメリカツアーへ
竹田選手は来シーズン、アメリカツアーに参戦する。
日本の女子選手は今シーズン
▽笹生優花選手が全米女子オープンで
▽古江彩佳選手がフランスでの海外メジャー大会で優勝した。
さらに来シーズンからは
▽去年まで国内ツアーで2年連続年間女王に輝いた山下美夢有選手や
▽岩井明愛選手・千怜選手の姉妹などもアメリカツアーに参戦する予定で、レベルの高い日本選手どうしの争いにも関心が集まる。
「すごく楽しみな気持ちが大きい。日本選手の人数も多く、日頃、試合で回っている選手と一緒に戦えるのはすごく心強い。日本の選手がたくさんアメリカツアーで活躍しているので、私も続けたらと思っている」
来年の目標を書いてもらうと「ベストを尽くす」と記した。
「アメリカツアーに初めて挑戦するので、大変なこともあると思う。でも毎試合毎試合、自分のベストを尽くせば必ず結果はついてくる。まずはそれができるように頑張ります」
圧倒的な成績でシンデレラのように飛躍を遂げた竹田選手。だが、心にあるのは“あくまで自分は自分”という思い。
その確固たる信念を貫き、アメリカツアーでも旋風を巻き起こす。
《あとがき》ゴルフ以外も…
竹田選手は子どものころ、ゴルフ以外にも水泳やヒップホップダンスも習っていたという。
さらに兄弟の影響で野球にも親しみ、キャッチボールやバッティングなどはいつもやっていたとのこと。
その好影響を今も感じているということで「水泳で培った肩甲骨の柔軟性が今もあるし、打ったり投げたりして体力もついたことが今に生きているのかなと思う」と話す。
ちなみに竹田選手はプロ野球・巨人の大ファン。
ことしのリーグ優勝の際には「もらい泣きしそうになった。自分も頑張ろうと思った」と笑顔で語っていた。
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