女子1000メートルで優勝した高木美帆=YSアリーナ八戸で2024年12月15日、吉田航太撮影

スピードスケート全日本選手権(15日、青森・YSアリーナ八戸)

女子1000メートル 高木美帆選手(TOKIOインカラミ)=1位、1分14秒17

 表彰台の上で、体を左右に揺らしながら笑顔を見せた。珍しく、満足感を隠しきれない高木美帆選手(TOKIOインカラミ)の姿があった。

 「自分を超えたい」

 この大会で掲げた目標を、果たすことができたからだ。そして何より、「自分の中で道しるべというか、この方向に進んでいったらいいのかなっていう手応えを感じることができた」。

 自身にとって今大会最後の種目となった女子1000メートルは圧倒的な速さだった。最初の200メートルを17秒93で通過し、最後まで力強い滑りを維持してフィニッシュ。自身が2022年12月に出したリンク記録を0秒48上回る1分14秒17をマークし、優勝した。タイムを確認すると、右拳を突き上げた。

 金銀のメダルを計四つ獲得した22年北京冬季オリンピック以降、更なる高みを目指して変革に取り組んできた。昨夏には「使いこなすことができたら、まだ速くなれるんじゃないかな」とスケート靴のブレード(刃)を変更。今季は「世界のトレンドになりつつある」という、滑っている最中に手を後ろに組むバックハンドも試している。

 試行錯誤していることもあり、今季は思うような記録が出ない。「このままでいいのか」と迷うこともある中で迎えた全日本選手権だった。

 目標達成の一つのきっかけになったのが、14日にあった500メートルだ。今季初出場の種目ながら、この種目で今季ワールドカップで2勝を挙げるなど勢いのある吉田雪乃選手(寿広)を抑えて優勝した。

 1000メートルでは、「自信、糧になった」という500メートルで意識した「スピードの作り方」を、600メートル通過までの滑りに応用した。これが快走につながったといい、「自分の中でやろうとしてできたことなので、次への大きな一歩だったのかなって思っている」と手応えを得た。

 年内最後の大会は出場全3種目優勝とし、今シーズンの前半戦が終了。26年のミラノ・コルティナダンペッツォ五輪を踏まえ、今後についてこう語った。「常に勝ちにいくこと、トライしにいくことという二つの軸を持ちながら、レースに挑んでいきたい。その結果が未来につながるんじゃないかなと思っている」。八戸で見つけた道しるべを信じて進み続ける。【森野俊】

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