第97回選抜高校野球大会(毎日新聞社、日本高野連主催)の「21世紀枠」の各地区候補9校が13日発表され、関東・東京地区代表として神奈川県立横浜清陵高校が初選出された。県勢が同地区代表に選出されるのも初めて。
横浜清陵高校野球部は前身の旧清水ケ丘高校開校時の1974年に創部。春夏を通じて甲子園への出場はない。私立の強豪が多く全国屈指の激戦区と知られる神奈川の中で、最近3年間では春、夏、秋の県大会でそれぞれ1回ずつ準々決勝に進出するなど着実に力を付けてきた。
今年の秋季県大会では4回戦で三浦学苑を破って公立高校で唯一の8強入り。準々決勝で夏の甲子園に出場した東海大相模に惜しくも敗れたが、粘り強い戦いぶりが評価された。
同校野球部は部員数25人(1、2年生、女性部員1人)。最大の特色は、2020年に赴任した野原慎太郎監督(42)の下、監督や野球部長が主導するのではなく、選手たち自らが考え、主体的に話し合って決める「自治」を前面に押し出した部運営を進めてきたことだ。
特に今年1月からは練習メニューやチームの目標、運営方針なども選手たちが議論し、時に監督らにアドバイスを求めながら組み立ててきた。
選手間で「マネジャー」「学生スタッフ」「主将」「内野手」「外野手」「打撃」「走塁」など部門ごとのリーダーを決め、毎週月曜日にリーダー同士で話し合って練習の目的を共有しながら1週間のメニューを作成する。試合でも選手たちが戦い方を議論しメンバー選びの方向性を決めるなど「チームは自分たちのもの」という認識をチーム全体で共有してきた。
野原監督は「強くなるためにやらなければいけないことを全員が認識できている。全てを自分たちで決めることで成功は励みになり、失敗は自分事として考えるようになる」と話す。野原監督は東海大相模、横浜国立大出身。東海大相模時代は投手として00年のセンバツ優勝を経験した。
来年3月の同大会への出場校は来年1月24日の選考委員会で決定される。21世紀枠では全国9地区代表の中から東西を区分せずに2校が選ばれる。【宮本麻由】
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