フィギュアスケートのグランプリ(GP)シリーズ上位6人・組で争うGPファイナルが5日、フランス・グルノーブルで開幕。今大会は女子に日本勢5人が出場し、過去最多に上る。大会は閉幕から約10日後に迎える世界選手権代表最終選考会を兼ねた全日本選手権(20~22日、大阪府門真市)の前哨戦とも位置づけられる。
男子は2022年大会(宇野昌磨、山本草太、佐藤駿、三浦佳生)や12年大会(高橋大輔、羽生結弦、小塚崇彦、町田樹)で4選手が出場した例がある。女子は21年大会にロシア勢5人が進出していた例はあるが、この時は新型コロナウイルスの影響で中止となった。同じ国から5人が出場し開催される大会としては初となる。
4日の公式練習では、千葉百音選手(木下アカデミー)、樋口新葉選手(ノエビア)、松生理乃選手(中京大)、坂本花織選手(シスメックス)、吉田陽菜選手(木下アカデミー)の順番で名前が呼ばれ、それぞれ最後に国籍を示す「ジャパン」のアナウンスが5回繰り返された。最後に唯一の海外勢となるアンバー・グレン選手(米国)がコールされた。
日本勢はいずれも強化選手としてナショナルトレーニングセンター(NTC)競技別強化拠点の関空アイスアリーナでも普段から顔を合わせている間柄。吉田選手は「いつものNTCで練習しているみんなと一緒にいるのにアンバー選手がいるというのがちょっと不思議な感じがしたんですけど、みんながすごいバンバン、ジャンプを跳んでいたので自分も気合が入りました」と振り返った。
過去に例のない特殊な状況で初のファイナルを迎えた千葉選手は「日本選手が多いのは心強い」。同じく初出場の松生選手は「全日本もきっと、レベルの高い試合になる。その前に日本選手と海外の試合に出ることができるのは心の準備にもつながる」と語った。
対照的に7年ぶりのファイナルとなった樋口選手は己の滑りに集中していたようで、練習後に問われると「あまり何も考えてなかったです」と笑顔を見せた。ただし、今季の最大目標を全日本選手権に置いていることもあり、「みんな全日本でいつも上にいる選手なので、そこら辺は(本番で)意識しながら滑れるといいかなと思います」と続けた。
出場者の中で最多4回目のファイナルとなる世界女王の坂本選手は「かなり好きなメンツなので。めちゃくちゃ楽しいです」と異例の雰囲気を堪能した様子。だが勝負に向けては「今年は5人もいるので、(代表選考において)自分の地位をちょっとでも上げていきたい」と意気込んだ。日本スケート連盟が公表している世界選手権代表(男女各3人)の選考基準では、GPファイナル出場者上位2選手は選考条件の一つとなっている。
女子は5日にショートプログラム(SP)、フリーは7日に行う。前回優勝の坂本選手には、日本女子では浅田真央さん以来となる11年ぶりの大会連覇が懸かっている。【グルノーブル倉沢仁志】
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