【関学大-法大】試合に勝利して喜び合う法大の選手たち=東京・スピアーズえどりくフィールドで2024年11月30日、前田梨里子撮影

全日本大学アメリカンフットボール選手権準決勝(30日、スピアーズえどりくフィールド)

○法大17(3)―17(0)関学大●(かっこ内は延長タイブレーク)

 勝利の瞬間、オレンジのユニホームがフィールドに一気になだれ込んだ。中には涙を流す選手の姿もあった。法大主将のDL山田晋義(4年)は「僕も主将だが、いちフットボールプレーヤー。憧れの王者に勝って甲子園へ進めるのは本当に光栄」と声をうわずらせた。

 昨年の毎日甲子園ボウルでは関学大に中央をランで切り裂かれ、失点を重ねた。今年も力のあるRB伊丹翔栄(4年)を擁す相手に対し、守備の狙いはシンプルだった。「(大事な場面は)絶対にランでくる。とにかくランだけ止めようと考えていた」と山田は明かす。

 鍵を握る山田らDL陣は昨年の反省を胸に刻んでいた。「自分の(責任を持つ)ギャップ(相手のOLの選手同士の間にできるスペース)だけを見て、そこだけは必ず守ることを意識していた」と語る。この狙いがはまり、関学のラン1回での最長獲得距離は伊丹の12ヤード。試合を通じて大きなゲインを許さなかった。

 敵陣25ヤードから攻撃が始まる延長タイブレークでも「タイブレークの方が守る側としてはうれしくて。フィールドが狭く感じて守りやすい」と精神的に優位に立っていた。関学大の猛攻にも最後まで集中力は切れなかった。

 毎日甲子園ボウルで5連敗と苦杯をなめさせられてきた関西勢からの勝利だ。関学大対策に自信を持っていたとはいえ、「正直、信じられない……」と山田は目を丸くする。

 「決勝はめっちゃ楽しみ。どっちが来ようとも負ける気はないですし、思いっきりやるだけ」。18年ぶりの学生日本一へ、一つ目の大きな山を越えた。【玉井滉大】

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