3区、日本郵政グループの広中璃梨佳(奥)を追い抜く資生堂の五島莉乃=仙台市で2024年11月24日、新宮巳美撮影

全日本実業団対抗女子駅伝(クイーンズ駅伝、24日・松島町文化観光交流館前~弘進ゴムアスリートパーク仙台)

8位=資生堂(2時間17分0秒)

 2年ぶりの優勝を目指した資生堂は中盤で一時トップに立ったが、パリ・オリンピック代表で精神的支柱の高島由香の当日欠場が響き、8位に終わった。

 唯一の見せ場はエース区間の3区だ。パリ五輪代表の五島莉乃が積水化学、日本郵政グループの一騎打ちの様相に風穴を開けた。

 6キロ過ぎで2位だった積水化学の佐藤早也伽を捉えると、8キロ手前で日本郵政の広中璃梨佳も抜き、先頭でたすきを渡した。区間は異なるが、4大会連続で主要区間の区間賞を獲得した五島は「今持っている力は出せた」と冷静に振り返った。

 続く4区は、前日のオーダー発表時点では高島の予定だった。

 4区は最も距離の短い「つなぎ」で、主力の高島が本調子ならば走る区間ではない。実は、右ハムストリング(太もも裏)を痛めており、青野宰明監督はギリギリまで起用を検討するため、4区に置こうとした。

 しかし、仙台入りした後に高島の右脚の痛みが増し、青野監督は「無理はさせられない」と当日にオーダー変更に踏み切った。

 急きょ4区を任された高卒新人の石田萌笑には荷が重かった。外国選手も走る区間で、区間24位で3人に抜かれて後退した。5区以降も巻き返せず、優勝の日本郵政から3分以上遅れた。青野監督は「石田は重圧の中で走ってくれたし、責めることはできない。この経験を生かしてくれれば」とかばった。

 2連覇を逃した前回大会同様、全員のピークを合わせるという課題が残った。五島と高島、5区を走った一山麻緒とパリ五輪代表勢の3人を擁して臨んだが、主軸に頼りすぎないチーム作りの重要性も思い知らされた。

 それでも、8位に踏みとどまったことで、次回大会のシード権を確保した。「個人種目も力を入れるが、もう一度、駅伝への『思い』を確認したい」。青野監督は自らにも言い聞かせるように、立て直しへの決意を口にした。【岩壁峻】

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