第77回春季栃木県高校野球大会(県高野連主催、朝日新聞宇都宮総局など後援)は3日、宇都宮清原球場で準決勝2試合があった。昨秋の県大会で準優勝した白鷗大足利が国学院栃木を5―1で破り、7年ぶりに決勝に進出。ノーシードの宇都宮商業は昨夏の甲子園に出場した文星芸大付を5―3で下し、34年ぶりに決勝に進んだ。決勝は4日、宇都宮清原球場で行われる。白鷗大足利と宇都宮商は、18日から群馬県で開かれる関東大会に出場する。同大会への出場は、白鷗大足利は7年ぶり、宇都宮商は32年ぶり。

 四回表に先取点を許したが、その裏に逆転し、相手に試合の流れを渡さなかった白鷗大足利。大会注目のエース昆野太晴(3年)も好投し、国学院栃木を下して7年ぶりに関東大会への切符を手にした。

 反撃の口火を切ったのが3番杉山歩夢(3年)。1死から右前安打を放つと、盗塁と敵失で三塁に進み、4番八角勇羽(3年)の一塁内野安打で同点のホームを踏んだ。「少ないチャンスをものにして流れができた」と八角。続く五回も打線がつながって3点を奪い、昆野を援護した。

 「これまでの試合では投手に負担がかかっていたが、きょうは『野手で点を取って流れをつくろう』と話して試合に臨んだ」と直井秀太監督は明かす。「今回はチームが苦しいところで打線が勝負してくれて、結果を与えてくれた」

 打たせて取る投球を心がけたという昆野は、相手打線を4安打1点に抑え、8三振を奪った。「昨秋の県大会は決勝で作新学院に負け、関東大会では(1回戦で)中央学院(千葉)に敗れて悔しい思いをした。関東の借りは関東でしか返せないという強い思いで投げることができた。優勝して関東で勝ち続けることが目標」

 当然、その先には16年ぶりの夏の甲子園出場がテーマにある。昆野は言う。「自分たちの代で出場し、勝ち残ることを目標にやっていきたい」(高橋淳)

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 国学院栃木は昨年秋に続き、あと一歩で関東大会出場を逃した。

 四回、大会屈指の好投手・白鷗大足利のエース昆野太晴(3年)を相手に連打で先取点を挙げた。適時三塁打を放った金子洸大(2年)は「ストレートを狙っていた」と胸を張った。しかしその後、打線は変化球でタイミングを外される場面が目立ち、1点のみに終わった。柄目直人監督は「これが今のウチの力かなと思う。内容は悪くない。次は攻略しないといけない」。夏への巻き返しを誓った。

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 ノーシードから私学の強豪を次々と撃破した。準々決勝では今春の甲子園に出場した作新学院、この日の準決勝は昨夏の甲子園出場校の文星芸大付。優勝した第43回大会以来34年ぶりの決勝進出と32年ぶりの関東大会出場を決め、応援席へ駆け出す宇都宮商の選手たちからは自信が感じられた。

 「県立高校はまずしっかり守ること。(私学強豪と)打ち合いはできないのでロースコアに持ち込む」。山口晃弘監督が思い描いた戦い方を、選手たちは貫いた。

 エースの山崎翔大(3年)の直球は130キロ台。それでも90キロ台の変化球で緩急をつけて、最後まで粘投した。「県立高で甲子園に行く。気持ちは一番強いと思う」と笑顔を見せた。

 六回に追いつかれた直後に突き放した打線も力強かった。適時打を放った主将の飯村允喜(3年)も「今年のテーマの攻撃的野球を意識した」と気持ちの面を強調した。

 宇都宮商は栃木県勢で初めて全国大会に出場し、選抜大会も3回経験する伝統校。だが、最近は私学の壁に苦しんできた。決勝の相手は、34年前と同じ白鷗大足利。山口監督が「試合を捨てない粘り強さは一番強い」と評する選手たちが、私学を倒しての頂点に挑む。(津布楽洋一)

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 文星芸大付は、チャンスで打線がつながらなかった。高根沢力監督は「攻撃、守備ともにミスが目立った。秋からの課題だったが、克服しきれなかった」と振り返った。2番手として登板した六回に勝ち越し点を奪われたエース堀江正太郎(3年)は「変わり目で長打を打たれたのは自分の甘さ。どの場面で出ても自分の全力が出せるよう準備したい」と夏に向けて雪辱を誓った。

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