(3日、神奈川県高校野球春季大会準決勝 東海大相模5―1横浜)
最後の打者を二ゴロに打ち取ると、東海大相模の左腕、藤田琉生(3年)は左拳をにぎった。目には涙があふれていた。
「横浜さんに勝つことは、東海大相模に入ってからの目標だった。勝ててうれしい」
9回1失点、被安打6の完投。昨秋の準決勝では延長十回タイブレークで逆転サヨナラ負けを喫したライバル相手に、雪辱を果たした。
- 吉田凌の涙と小笠原慎之介のツキが導いた頂点 ふたりのライバル物語
身長198センチ、92キロ。角度のある140キロ中盤の速球を繰り出す大型左腕だ。接戦が続く中、五度先頭打者の出塁を許した。それでも速球と縦横の変化球を散らし3併殺を奪った。
圧巻は九回表の攻撃。援護点がないならばと右越え3ランを放ち、自らの手で試合を決めた。
「注目されるプレッシャーはあったけど、それに負けないという気持ちやってきた」
中学時代、全国大会で実績を残した。相模を選んだのは、2015年夏の全国選手権で優勝投手になった小笠原慎之介(中日)に憧れたから。
昨秋の背番号は2桁。ピンチを背負った際の粘りや、制球力が課題だった。
冬場は走り込みに加え、とにかく白米を「ぶっこんだ」。体重を7キロ増やし、この春解禁された二段モーションも取り入れた。これが「体重移動がしやすい」と奏功し、力感なく速球を投げられるようになった。
念願の背番号1を手にした今大会。4回戦で桐蔭学園を完封し、関東大会への切符がかかったこの日も一人で投げきった。
原俊介監督は精神面の成長に目を細める。「昨年は苦しいことがあるとすぐ顔に出しちゃうところがあった。色んな部分で粘り強くなった」
藤田は言った。
「堂々としたピッチングだけじゃなく、声と行動でみんなを引っ張るのが東海大相模の(背番号)1番だと思う」(大宮慎次朗)
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