【町田-FC東京】試合に勝利し、喜ぶ町田の選手たち=国立競技場で2024年11月9日、藤井達也撮影

◯FC町田ゼルビア3―0FC東京●(9日・国立競技場)

 負ければ初優勝の可能性が消える一戦。町田が本来の姿を取り戻し、9月14日以来、リーグ戦で実に2カ月近くも遠ざかっていた勝利をつかんだ。

 前半15分。GK谷晃生のロングボールを、呉世勲が頭で前線に送る。これを拾ったエリキが味方の上がりを待ちつつ、ゴール前へ折り返すと、白崎凌兵が右足で先制点を決めた。

 後半に入っても攻撃力は衰えなかった。4分に呉がゴールを決めると、34分には相馬勇紀がCKから鮮やかに直接ゴールを決めて突き放した。1得点1アシストの白崎は「チームとして苦しい時間が長かった。何としても勝つという気持ちで挑めた」と興奮した様子で振り返った。

 J1初昇格ながら快進撃を続けてきた町田だが、優勝争いが佳境を迎えて失速した。直近はリーグ戦5試合で2分け3敗と苦しみ、優勝争いからは大きく後退。前節にはJ2降格が決まっている鳥栖にまで競り負け、「勝ち点70以上」の目標には届かなくなった。

 黒田剛監督もさすがに「監督としてもかなりの不安を抱えていた」とまで打ち明け、「選手たちも正解が分かっていても、足踏み状態が続いていた」と語った。

 町田はFC東京戦で従来の4バックから3バックへシステムを変更し、攻撃に厚みを持たせた。前半から相手に積極的にプレスをかけ続ける本来の持ち味を発揮し、セカンドボールの回収で優位に立った。放ったシュートの数も相手の5本に対して4倍近い19本。シュート意識の高さにもつながった。

 「『これぞ町田の魂なんだ』というものを身をもって表現してくれた」と黒田監督。首位の神戸が10日の東京ヴ戦に勝てば、優勝の可能性が消滅する。厳しい状況には変わりないが、苦しい中で自らがやるべきサッカーを再認識できた価値ある勝利だった。【高野裕士】

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。