香港ヴァーズに出走したディアドラ(左)とラッキーライラック=香港のシャティン競馬場で2019年12月8日、中嶋真希撮影

 今年も難解なレース。混戦を断つヒントは--。

 毎日新聞デジタル報道グループの“真希バオー”こと中嶋真希記者が、秋のGⅠ主要レース6戦を予想。第4弾は、今年の女王を決めるエリザベス女王杯(京都2200メートル、10日午後3時40分発走)です。

 昨年、ホープフルステークス(S)を勝ち、牡馬クラシック路線へと駒を進めたレガレイラが巻き返すか。競馬担当30年の師匠、松沢一憲記者は「大混戦だが、過去の好走馬にヒントがある」と胸を張ります。真希バオーは「こんな時こそ、馬券を買い続けてきたあの馬を信じたい」と、前残りの展開に期待します。

データもあてにならず

 「もうギブアップだ!」

 師匠が悲痛な声を上げていた。「大混戦だよ。こりゃあ難しいな」とうなっている。

 「自信を持って軸にできる馬がいないですよね。ホープフルS(中山2000メートル)の覇者レガレイラが人気を集めそうですが、今年は3戦して馬券に絡んでいません」と真希バオーも悩む。

 「そうなんだよ。レガレイラは皐月賞(中山2000メートル)6着、ダービー(東京2400メートル)5着と、牡馬を相手にがんばってきたよな。ただ、どうも勝ちきれない。前走ローズS(中京2000メートル)も、後方から最速の上がりを繰り出し、0.4秒差ではあるが5着止まりだ。全幅の信頼は置けないな」と師匠が言う。

 データを見ても、はまる馬がいない。「ステップは、府中牝馬S(東京1800メートル)組が過去10年で10連対と好相性だ。ただし、今年は勝ち馬が不在。前走府中牝馬Sを走った7頭中5頭は着外で、あてにならないんだよなあ」と師匠。

 「どうすれば、この難問が解けるんですか?」と真希バオーが問うと、師匠は過去の紙面を取り出した。「なあ、ぼくが2020年のこのレースで、5番人気のサラキアを本命にしたのを覚えているか? 見事な末脚で2着だったな。勝ったのは1番人気ラッキーライラックだったが、馬単3610円と好配当だったよ」と懐かしむ。

 「この2頭から、ヒントが見えてきたぞ!」と師匠が叫んだ。

松沢記者の本命は……

2023年のエリザベス女王杯を制したブレイディヴェーグ=JRA提供

 ◎サリエラ(13)、○ライラック(2)、▲レガレイラ(7)、△シンティレーション(12)、△ホールネス(1)、△シンリョクカ(8)

 ◎サリエラは、サラキアの全妹。姉の適性を受け継いで、昨年のこのレースは2馬身差6着と健闘した。「3走前は、東京競馬場で行われる最長距離のハンデ重賞、ダイヤモンドS(3400メートル)で2着。すごいスタミナだよな。天皇賞・春(京都3200メートル)は12着に負けたが、相手が強すぎた。牝馬相手なら、能力は互角だ。血統の後押しも期待できるぞ」

 対抗のライラックは、ラッキーライラックと同じオルフェーヴル産駒。「22年は2着同着、23年は4着と、大得意な舞台だ。前走府中牝馬Sからの距離延長も歓迎だ」

真希バオーの大胆予想

 馬連5頭ボックス(10点×100円=1000円)

 (1)ホールネス

 (7)レガレイラ

 (8)シンリョクカ

 (13)サリエラ

 (17)コスタボニータ

 コスタボニータがエリザベス女王杯に出走すると聞いてから、「勝機あり」と楽しみにしてきた。きっと「はいはい。イスラボニータが好きだから、産駒ならどの馬でも応援するんでしょ」とあきれられるだろう。まあ、そう言わずに、聞いてください。

 まず、京都とイスラボニータ産駒は、相性がいい。10月19日の新馬戦(芝1400メートル)では、7番人気アクルクスが2馬身差で快勝。10月27日の長距離戦、古都ステークス(芝3000メートル)は、コパノサントスが勝利。短い距離からマラソンレースまで幅広い活躍だ。スピードに乗りやすい京都が合っているのだろう。

 コスタボニータは、今年春の福島牝馬S(福島1800メートル)で重賞初制覇。直線で前が詰まりながらも、外に出して前の2頭を差し切った。2走前の小倉記念(中京2000メートル)は、直線半ばで先頭に立ち、粘って首差の2着。小回りでも、長い直線でも、結果を出している。

 前走の府中牝馬Sは、先行馬には厳しい展開で11着。3走前、初めて京都を走ったマーメイドS(2000メートル)は、出遅れが響いて10着。成績にムラはある。ただ、ムラがあるということは、いつ激走するかわからないから、馬券を買い続けているのだ。

 大外枠を引いたのは痛いが、器用な立ち回りでカバーできるはず。粘りに粘って、レガレイラの強襲が届かない……。そんな展開になれば、イスラボニータ産駒初のGⅠ制覇も夢じゃない。

真希バオーの勝負レース

 秋華賞→的中 馬連2200円

 菊花賞

 天皇賞・秋

 エリザベス女王杯

 ジャパンカップ

 有馬記念

なかじま・まき

 毎日新聞デジタル報道グループ記者。業務の傍ら、学生時代から興味があった競馬を本格的に勉強しようと、2014年、競馬担当の松沢一憲記者に勝手に弟子入り。得意技は、パドックで激走する穴馬を見つけること。皐月賞馬イスラボニータが大好きで、産駒の応援に励んでいる。

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