来日を希望する安青錦(左)に手を差し伸べた山中新大さん=大阪府吹田市の関西大学で11月5日午後3時6分、村社拓信撮影

 大相撲九州場所(10日初日・福岡国際センター)を新十両で迎えるウクライナ出身の安青錦(あおにしき、20歳)=本名・ヤブグシシン・ダニーロ、安治川部屋=に5日、関西大相撲部から化粧まわしが贈られた。吹田市の同大学であった贈呈式では、校章があしらわれた紺色の化粧まわしがお披露目され、応援団からエールを受けた安青錦は「すてきな化粧まわしを着けて優勝を目指したい」と力強く語った。

 ロシアのウクライナ侵攻(2022年2月)で母が住んでいたドイツに逃げていた安青錦は、国際大会で知り合ったのを契機に交遊を深めていた元関大相撲部主将で現在コーチの山中新大(あらた)さんに連絡を取った。訪日を打診するためだ。願いを快く受け入れてもらった安青錦は22年4月に来日し、山中さんの家族との生活が始まった。

応援を受ける安青錦(左から3人目)=吹田市の関西大学で午後3時1分、村社拓信撮影

 関大で練習生として相撲部員らと汗を流すうち、相撲関係者の紹介で安治川部屋へ入門することに。23年秋場所の初土俵からトントン拍子で出世し、11月の九州場所で新十両に昇進した。所要7場所での新十両は関学大出身の宇良や元横綱・旭富士(現伊勢ケ浜親方)と並び、幕内経験者の三段目・炎鵬らの6場所に次ぐスピード出世だ(1958年以降初土俵、幕下付け出しを除く)。

 贈呈式のため関大の相撲場を訪れた安青錦は「ウクライナではマットの土俵だったので、関大で初めて稽古したときは足の裏の皮がめくれた」と当時を懐かしんだ。そして「日本に来たときは右も左も分からなかった。一番お世話になった大学から化粧まわしもらえ、うれしい」と話した。

 山中さんは「けがをせず、相撲界を引っ張るような存在になってほしい」と期待。下のしこ名を山中さんと同じ「新大」にする安青錦も「自分らしい相撲で横綱を目指す」と日本の「母校」の応援を力にする。【村社拓信】

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