なでしこリーグ1部昇格を目指すチームの中で何が起きているのでしょうか。
出雲市の女子サッカーチーム「ディオッサ出雲」のブラジル人選手2人が、チーム関係者からセクハラにあたる発言や差別的な発言を受けたとして、代理人弁護士とともに記者会見を開き、被害を訴えました。
一方で、クラブ側も会見を開き、一部事実ではないと反論しました。
選手の主張(通訳):
「私たちは権力の乱用などによって苦しむため、あるいはいじめの奴隷になるために来たのではありません」
被害を訴えているのは女子サッカー・なでしこリーグ2部の「ディオッサ出雲FC」のブラジル人選手の2人です。
11月6日、出雲市役所で代理人弁護士と通訳とともに会見を開きました。
代理人弁護士の説明によると2人が訴える被害は大きく3点です。
1つ目は、監督・コーチらによるセクハラや差別的発言。
選手側の主張によると2人が入団したおととし8月からチーム活動を離脱した今年8月までの間、チームの監督がミスをした2人に対して練習中や試合中に何度もポルトガル語で男性器を意味する言葉などを投げかけたほか、コーチからは2人が日本語の指示を理解できない事に対し、「こいつら分かってんの」などとあざ笑う発言があったとしています。
2つ目は、通訳を帯同させなかった契約違反です。
入団時の契約では練習と試合のときには通訳を手配する義務がクラブ側にあったにもかかわらず、短期間しか手配しなかったと主張しています。
3つ目は監督によるパワハラ発言です。
2人近いチームの関係者がクラブ側に対して通訳の帯同を求めたところ、監督から「そうしたことを求めるなら2人を試合に起用しない」といった旨の発言があったとしています。
これらの問題から2人はリーグ戦途中の今年8月を最後にチームを離脱していて、心療内科に通院し、うつ状態と診断されたとしています。
代理人弁護士:
「お二人はクラブに残りたいというのが私が伺っている最新の意思ですね。分断されている選手たちにきちんとした説明会を開いてほしい。その上で環境改善がなされたチームに戻りたい、というところでございます」
2人は代理人弁護士を通じて監督、コーチの解任や環境改善を求めてきましたが、クラブ側にその意志がみられなかったことから6日付でクラブが所属する日本女子サッカーリーグにクラブと関係者の処分を求める内容の書面を提出したということです。
そのうえで、今後のクラブの対応によっては、出場機会を奪ったことへの損害賠償や精神的苦痛に対しての慰謝料を求めた訴訟の提起も視野に入れているとしています。
一方、この会見後、クラブ側も同じ場所で会見を開き、クラブ側の考えを述べました。
まず2つ目の通訳を帯同させなかった点については…。
NPO法人・ディオッサスポーツクラブの理事長:
「試合の時も100%つけていたという状況ではなかったという部分は、クラブとしては認めざるを得ないところでございます」
通訳の帯同が不十分であった点を認め、契約不履行に対する損害賠償請求に応じる考えを示しました。
一方で、その他の選手側の主張については一部反論しました。
まず一つ目の監督・コーチによるセクハラや差別的な発言について、クラブの内部調査では性的な意味を持つポルトガル語はミスをした時などによく使われるスラングのような言葉であり、差別の意図をもって選手に発言したものではないと主張していますまた、コーチが2人をあざ笑う発言もなかったとしています。
また、3点目の監督によるパワハラ発言についても、「チーム内で解決できることを監督を交えずに相談するという対応は順番が違っており、そういうことをされると選手が起用しにくくなる」という意図で発言したと主張しています。
NPO法人・ディオッサスポーツクラブの理事長:
「仲が良かったのに、なんでこうなってしまったのか非常に不思議でならない」
クラブ側は現在、日本女子サッカーリーグから指摘を受けて追加調査を実施していて、この調査を踏まえパワハラやセクハラについて事実が認定されれば関係者の処分を検討するとしています。
鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。