応援してくださる地元のみなさんに、勇気と感動を届けられるように頑張る――。3月の大相撲春場所で110年ぶりの新入幕優勝を果たした青森県五所川原市出身で伊勢ケ浜部屋の尊富士(たけるふじ)関(25)=本名・石岡弥輝也(みきや)=が、東京都内のスタジオで優勝額用の写真撮影に臨んだ。撮影の合間に発する言葉には、地元からの応援への感謝の思いがあふれていた。【庭木茂視】
撮影当日、尊富士関は部屋からスタジオに到着すると、ひと息ついた後で着物から化粧まわし姿に。自らの優勝額が国技館に掲げられることに「(優勝額は)国技館の一番でかいものなので、これから飾られることにワクワクしている」と相好を崩した。
実は入門前、尊敬する鳥取城北高の先輩、横綱・照ノ富士関に誘われて一度このスタジオを訪れ、優勝額のための撮影に立ち会っている。ただ当時は「こう(撮影される側に)なりたいということも、考えていなかった」という。
「こっちの腕を少し引いて」「もう少し顔をこっちに」「足はぐっと、地面をつかんで」。カメラマンから熱を帯びた指示が次々と飛び、それに合わせてポーズを微調整していく。撮影は50分以上に及び、途中でカメラマンらと一緒に出来栄えを確認した。
撮影が終わると「(ポーズを取り続けて)疲れました」と言いつつ「5年くらい両国国技館に、歴代の優勝した方々と一緒に飾られますよね。光栄なことです」とはにかんだ笑顔を見せた。
青森県出身力士の優勝は、1997年九州場所の大関・貴ノ浪関=三沢市出身=以来。両国国技館で12日に初日を迎える夏場所は、東前頭6枚目となる。
「皆さんに応援してもらっているから相撲の時に力になる」と話す尊富士関。自身の優勝額の下での土俵に「自覚を持って、もっと相撲に取り組もうと思う。地元の方はもちろん、今いろいろと大変なことに直面している人たちにも自分が相撲を頑張っている姿を通じて少しでも勇気と感動を届けられるようにしたい」と表情を引き締めた。
優勝額は初日前日の11日、初場所で9回目の優勝を飾った照ノ富士関と共に毎日新聞社から贈られ、国技館の壁面に飾られる。
大相撲の優勝額
畳5畳大(縦3・17メートル、横2・265メートル)で、大相撲本場所が年3回開かれる東京・両国国技館内の東西南北の壁面に8枚ずつ飾られている。優勝力士を顕彰して国技館に額を掲げる事業は1909年に始まり、37年に毎日新聞社が事業を引き継いだ。両国開催の場所ごとに、2枚ずつ新旧を入れ替える。
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