“ディフェンスチーム”がまさかの100失点

10月27日にドルフィンズアリーナで行われた名古屋ダイヤモンドドルフィンズ(名古屋D)とのアウェーゲーム。シーホース三河は105-82と、名古屋Dに100点ゲームを許して完敗。連勝は4でストップとなった。

名古屋Dは、前節の三遠ネオフェニックス戦、そして10月26日の三河戦(GAME1)と連敗中。ホームゲームの「愛知ダービー」で3連敗は許されないと、普段以上の準備とエナジーを持ってゲームに臨んだはず。それすらも今の三河なら跳ね返せるかと思ったが、昨シーズンの西地区王者はそう甘くはなかった。

この日は序盤から常に名古屋Dペースで進み、失点が重なっていく。タレントがそろっていると言われる三河だが、ライアン・リッチマンHCは常々「三河はディフェンスから入るチーム」と言っている。そのアイデンティティが崩壊し、まさかの105失点。

試合後、リッチマンHCは「自分たちはディフェンスチームとしてのアイデンティティを持っている中で、今日のようなゲームをしてしまいました。彼らのエネルギーと自分たちのエネルギーがマッチせず、ペイントエリアを守れなかった。ペイントエリアで82%という高い確率で得点を決められてしまった。これは受け入れられるような結果ではない」と話した。

名古屋Dはファストブレイクから24点を記録している。ターンオーバーやトランジションの遅さを突かれ、ダンクやレイアップシュートなど、ペイントエリアでイージーな得点を許してしまった。

三河のオフェンスも悪くはなく、須田侑太郎の4点プレーや角野亮伍の連続3Pシュートなど、流れを変えるチャンスはあった。それでも名古屋Dペースで進み続けたのは、ゲーム中にディフェンスを改善できなかったから。バスケットボールというスポーツは生き物のようで、いい流れがあれば厳しいタフショットも不思議と入ってしまう。いくら得点を重ねても相手のオフェンスを止めない限り、点差は縮まらない。ディフェンスの重要度を痛感させられる敗戦となった。


敗戦の中に見えた2つの希望

完敗という結果だったが、ポジティブな面を挙げるなら、一つは最後まで“ゲームが壊れなかった”こと。大差がついてしまうと、オフェンスで個人プレーに走ったり、イージーミスを連発したりするゲームがある。チームの秩序が崩壊した状態だ。

その点、リッチマン体制になった昨シーズンから、そうしたゲームが格段に減った。試合後の会見で西田優大も「最後まで集中力を切らさずにやり切れたのは昨年と違う部分」と話し、逆転が難しい状況でも三河はチームが用意したプランを遂行し、ファイトした。

もう一つが、ケガの功名と言うべきか、西田優大と西田公陽のポイントガードを試せたこと。正ポイントガードの久保田 義章をコンディション不良で欠いた今節、西田兄弟がポイントガードとしてプレーする時間が多かった。

ポジションレス化が進む現代バスケだが、やはりポイントガードがもっともボールに触る機会が多い。スキルや判断に優れたプレイヤーが長くボールを扱うことは、オフェンスの成功、そしてゲームを優位に進めることにもつながる。

スコアリングの能力が高く、190cmとサイズもある西田優大。彼がガードとして開花したら、と見ていて期待したくなる。リッチマンHCが求めるクオリティにはまだまだかもしれないが、名古屋D相手でもある程度通用したのは収穫だろう。

次節はホームに中地区首位のアルバルク東京(A東京)を迎える。地区優勝を目指すなら避けて通れない相手で、簡単にやられるようならチャンピオンは望めない。リッチマンHCが「A東京はインサイドを攻めてくるチーム。今日の課題を受け止めて準備しなければならない」と話すように、GAME2で課題となったインサイドのディフェンスをチームとしてどのように解決してくるか、次節の戦い方に注目したい。

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