今週末は東京競馬場でGⅠ天皇賞・秋が行われる。レースの2週間前、日曜日に行われる特別登録の時点で17頭。特別登録を済ませてもけがでレースを回避したり、他のレースへの出走に切り替えたりする馬がいて、フルゲートよりも少ない頭数になる。昨年は11頭立てだったので、それよりは出走頭数は多くなる。
GⅠレースで出走頭数が少なくなる理由の一つが「絶対的に強い馬」の存在だ。昨年の11頭立ては「イクイノックス」という絶対王者がいたから出走頭数が少なかったというのが個人的な見解だ。
今年は絶対的に強い馬がいるのだろうか。昨年の牝馬3冠であるリバティアイランドは、前走のドバイシーマクラシックの後に故障が判明し、今回が休み明けのレースとなる。昨年の天皇賞・秋で2着だったジャスティンパレスはその後のレースで勝利できていない。重賞で連勝中のレーベンスティールは勢いこそあるが、国内のGⅠレースへの出走は今回が初めてなので、さすがに「絶対的に強い馬」というわけにはいかないだろう。
そうなると、やっぱりドウデュースに「絶対的エース」として君臨してほしい。イクイノックスを2022年の日本ダービーで破り、昨年の有馬記念では久しぶりのGⅠ勝利を挙げた。昨年の天皇賞・秋は騎乗予定だった武豊騎手が5レース後に騎乗馬に蹴られて負傷の乗り替わりとなった。ドバイのレースを取り消した影響もあり、テンションの高かったドウデュースを初めて騎乗する戸崎圭太騎手が乗りこなすのは簡単ではなかったのだろう。
これに関しては、1週前追い切りに騎乗した武騎手が「昨年の方が走りに少し力みがあった」とコメント。私自身も昨年と今年の比較をして、今年の方が明らかにリラックスした走りになっていると感じた。
ただ、昨年が秋3戦目となる有馬記念で勝利したこともあり「休み明けよりたたいて良くなるタイプ」と思っているファンもいるだろう。ただ、この質問に対して武騎手は「たたいて良くなるというよりはタフな馬。ずっと状態がいい」と話す。私も同じ意見で休み明けがあまり良い条件ではなく結果が出ていなかっただけ。今年のドバイターフは内で詰まっていたし、宝塚記念は雨が敗因だろう。
レース当日、好天に恵まれるようなら「今の絶対的エースはドウデュースだった」という結果を見せてくれると信じたい。(競馬ライター)
いうち・としあき
1976年生まれ。東大阪市出身。高校の同級生の影響で競馬に興味を持った。92年の菊花賞(GⅠ)を自身と同じように小柄なライスシャワーが制し、その魅力に取りつかれた。大阪経大卒業後、競馬予想サイトの運営会社勤務を経て、フリーライターに。
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