柔道 全日本選手権(29日・日本武道館)
決勝 ○中野寛太(旭化成)―原沢久喜(長府工産)●
8年ぶりに旗判定が復活した今大会。決勝の8分間の戦いが終わると、中野を支持する赤い旗が2本揺れる。優勝を確かめると、天井を見上げて感慨に浸った。
オリンピック2大会連続出場の原沢との決勝。準決勝で前回王者で同じ所属の王子谷に開始36秒で一本勝ちした勢いそのままに、攻め気を忘れなかった。「(残り時間に)関係なくコンスタントに技を出していった」と、序盤から果敢に投げを打ち指導を二つ引き出して、終始優位に進めた。
延長戦がなくなったことで、選手は「攻め」の姿勢がより評価される。「時間が分かるので、覚悟が決めやすかった」という冷静さも光った。
天理大、旭化成と強豪でもまれるホープは、国際大会でも徐々に結果を残しつつあるが、4月の全日本選抜体重別選手権では初戦敗退。母校の天理大で、穴井隆将監督が1週間付きっきりで稽古(けいこ)を重ねた。「今までで一番きつかった」と話すほどの内容で勝ちきる大切さを改めて学んだという。
何としても取りたかった全日本のタイトルを取った中野は、次の目標を問われ迷わず「ロサンゼルス五輪出場」を宣言した。同じ100キロ超級には、1学年下でパリ五輪代表内定の斉藤がいる。「パリ五輪が終わったらまた当たる機会も増えるので、意識しないといけない。どんどん挑んでいきたい」。ライバル争いにも名乗りを上げた。【高橋広之】
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